おばあちゃん「ちゃんと食べたかい、親友の遺灰を?」
多田八
前略、私の愛する女の子が死にました
だって、私は、溢れ出る好奇心を抑えることができなかったのだ。
その点については両親が悪い。小さな頃から好奇心を持て、好奇心を持てとうるさすぎて、私はある日、コーンパンに一体何粒のトウモロコシが入っているのか知らべたのだ。
もちろん、そんなことにまで私の好奇心は及ばない。単なる当てつけだ。しかし、親はそんな皮肉に気づかないのか、好奇心を持っているじゃあないか!などと私を褒めた。どうりで、皮肉に対する好奇心ばかりが増えていくわけだ。
さて、そんな父と母を持ち、私はすくすくと好奇心ってヤツを育みながら高校生になったわけだけど、どう思ったが入った学校は女子校だったわけだ。
女子校。好奇心。まあ、中々変なやつだと見られた。幸いうちはお嬢様学校で、イジメられるってこともなかったんだけど、かなり浮いていた。とっても。この学校何階?なんて聞かれた日には、アイツは十階まで浮いてるから、少なくとも十階建てだね、などと言われかねない。
浮きまくり。浮きすぎてむしろウキウキ。だけどさ、こんな私にも親友がいたんだ。大好きだった。毎日のように遊んで、だけど、ここはど田舎だから、渋谷だのネズミパークだの、そんなところに行けるわけもなく、山にちょくちょく遊びに行ったんだ。
山? 花の女子高生が山!? 怒られるよ、そんなことしてたら、誰に怒られるのか知らないけど。でも、だって山って楽しいじゃん? 食べられる野草とか、食べられる昆虫とか、食べられる何かとか。実際は食べなかったんだけど、例の好奇心のせいで、私は核戦争後の食料難を想定して、いっぱいの食べられるサムシングを探して、親友とそこらを歩き回ってたのさ。
あーあ、楽しかったな、本当、こんなのがずっと続けばな~なんて。
そんなことを二人で話していた矢先に親友は死んだ。
で、今、葬式。クラスのみんなで参列して、坊さんがお経を読んでいる。足がジンジン痺れて、いや、だけどそんなことより私はただただ悲しくて、ポロポロと涙を流す。滂沱の涙。だというのにクラスメイトはお互いの痺れたお互いの足をツンツンと小突いている。決して私の親友は嫌われ者ではないし、特別彼女たちが薄情なわけではない。
「四十九日って……えー、夏真っ盛りじゃん」とクラスメイトの一人が言った。
「そんな暑い時期に復活するなんて、大変だねあの子も」
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