鳥の水無月

石村まい

鳥の水無月

撃ち落とす夢ひんやりとした指先にさっきまで触れていた紫陽花


歪みつつ立たされてゆく鶴たちの背中が徐々にふくらみたがる


前世の贖罪として噤まれる嘴の白たたかわぬ白


砂という情緒のかたち青空が崩れないことだけを願って


飛ぶときに耳のうしろを鳴る風よ 町いちめんに咲いている何か


海の見える丘公園から海でないものばかり見ておかえりなさい


剥製がそういうたぐいの善ならば乾いた羽に光をまぶす

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鳥の水無月 石村まい @mainbun

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