第2話 帰還

 目を開けると、そこにはよめーずが心配そうな顔で俺の事を見つめる姿があった。


「みんな……」

「レオ様、まずはおかえりなさいませ」

「ああ、ただいま」

「それで……」

「ああ。神の座には行けたよ」


 頷きながら答えると、サーシャたちは安心したような表情を浮かべた。


「では……」

「ああ、俺の願いは……」


 あれ? これは叶ったと言っていいのか?

 なんか結局口車に乗せられたような……


「あの、レオ様? ケイトさんの姿がありませんが……」


 サーシャは再び不安そうな表情を浮かべる。

 いかんな、黙ってたら不安にさせるだけだ。


「ああ、死者の、ケイトの蘇生は叶わなかった」

「そんな……」


 サーシャたちよめーずは俯いてしまったが、俺が何故蘇生出来なかったのかを説明をすると、少しは納得したようだ。


「確かに中途半端な記憶と感情だけ持って生き返るのは……あたしも不安ね……」

「私もそう思います。ですが、レオ様やみなさんが居るのなら、と思わなくもないですね」


 考え方はやはり人それぞれか……

 どちらが正解でどちらが間違いなんてことはないんだろうな。


「それで、なにも望まなかったのですか?」

「いや、管理者側からの提案で、生まれ変わっても出会えるようにしてもらったよ」

「管理者?」


 サーシャは首を傾げている。

 管理者じゃわからないか……


「管理者って言うのは、俺たちの言うところの神様だってさ」


 この説明でサーシャは納得したようだ。


「生まれ変わっても……ね。なんだかロマンチックね」

「レオ様、素敵」

「生まれ変わっても旦那様と巡り会える、ケイトさんが羨ましいですわ」

「羨ましいですね」

「自分も生まれ変わってもみんなと会いたいッス!」


 きゃあきゃあとみんなで感想を言い合っている。

 これは言っておいた方がいいかな? もし嫌がられたら心折れるけど。


「実はさ……みんなもそうなんだよね」

「え?」

「友人なのか恋人なのか、はたまた親子なのか関係性は分からないけど、俺たちは生まれ変わっても出会うことになるよ」


 男か女かも分からないけど。

 確定なのは俺が男でケイトが女、それだけ。


「レオ様、本当?」

「ああ。本当だよ。勝手にそんなことして申し訳ないけど、俺は生まれ変わってもみんなとも会いたいから」


 これは完全に俺のわがまま。

 よめーずにしっかりと頭を下げて謝る。


「レオ様、頭を上げてください」


 俺の謝罪はサーシャに止められ、右手を握られる。


「謝る必要はありません。確かに驚きましたが、私は嬉しく思います」

「サーシャ……」

「そうよレオ。あたしも嬉しいわ。ありがとう」


 そう言いながら身を寄せて俺の左腕を抱き締めるリン。両手に花である。


「ずるいッス! 自分も嬉しいッスよ!」


 アンナは何故かその場でピョンピョン跳ねながら不満を漏らす。


「レオ様、来世もお嫁さんにしてね?」


 小首を傾げてそう言ってくるイリアーナは大変にあざとい。


「性別も変わるかもしれないのでしたら、次は男性に生まれて旦那様のご友人となるのも楽しいかもしれませんわね」


 ベラはイリアーナとは真逆のことを言いながらクスクスと笑っている。


「生まれ変わったら今度こそレオ殿の隣で戦える強者となりたいものです」


 ソフィアはなんか方向性が違うな……

 でもそれは来世まで待たなくても叶うと思うぞ?


「それとこれはあんま重要じゃないかもしれないけど、俺【理外ことわりはずれ】の力と【トラック運転手】と【勇者】以外の職業、さらに今レベル10だからみんな俺を守ってね?」

「はい?」


 全員の目が点になる。

 あれ? 思ったより反応デカイな……


「なんかケイトと出会えるようにするだけなら【理外ことわりはずれ】の力だけでもよかったんだけど、みんなと出会えるようにするのにそれだけの代償が必要だって言われてね、支払ってきた」

「レオ……そんな簡単に……」

「ってことは今のレオさんは自分たちより弱いんスか?」


 どうだろ?

 そうなった事は分かってるけど、実際の強さまでは把握してないな。

 なんとなく体が重い気はしているけど。


 ちょっと確認してみようか。


「ステータスオープン」


 ◇◆


 名前……レオ・クリイド レベル10

 職業……(本業)トラック運転手(副業)勇者

 年齢……21

 生命力……C 魔力……B 筋力………B 素早さ……C 耐久力……B 魔攻……C 魔防……C


 スキル


(身体能力系)

【身体強化(極)】【タイタン】【ヘルメス】【アイギス】【瞬間加速・停止】【絶倫(強)】【生命力強化(大)】【俊敏】【回復力強化(大)】【限界突破】


(魔法系)

【魔法適正(聖属性を除く全て)】【魔力吸収(極)】【トリプルマジック】【魔法威力上昇(極)】【合成魔法】【魔力極大ブースト】【精霊召喚】【忍術】


(感覚系)

【気配察知(極)】【直感強化(特)】【知覚強化(特)】【魔力視】【弱点看破(極)】【見切り(極)】【魔力感知(上)】【五感強化】【闇視】【傲慢なる者の瞳】【思考共有】


(耐性)

【痛覚鈍化】【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】【状態異常耐性(強)】【毒無効】


(攻撃)

【剣術(神)】【斧術(特)】【槍術(上)】

【魔力撃(極)】【精神攻撃】【状態異常攻撃】【腐食攻撃】【毒攻撃】【投擲】【闘気剣】


(防御)


【盾術(特)】【闘気盾】【衝撃緩和(上)】【攻撃反射(上)】【不動】【騎士の矜恃】【挑発(上)】


(特殊)

【トラック召喚】【トラック完全支配】【無限積載】【聖剣召喚】


【天駆(上)】【隠密(上)】【自己再生】【糸生成】【テイム(極)】【捕食】【水中呼吸】【アイテムボックス】【ブースト】【解析鑑定】【獲得経験値5倍】【成長促進】【複製】


 ◇◆


「本当にレベル10ですね……」

「この前見せてもらった時はスキル表示が無かったけど、復活してるわね」


 ざっと目を通していくと、【魔剣召喚】などの神器召喚スキルがほとんど消えていた。

【勇者】の神器である【聖剣召喚】は残っていることからあれらは職業と紐付けされていることがわかる。


理外ことわりはずれ】も失ったことから能力の再現も不可能。いや、嫉妬の能力である【複製】があるから劣化コピーなら作れるか?

 無理か、魔力が足りない。


【魔剣召喚】は使い道あったけどスキルで代用可能、他の神器は使う機会も無かったし問題ないな。

 失う前に【複製】でソフィアとアンナに作っておいてよかった。


「まぁ【獲得経験値5倍】と【成長促進】もあるし、すぐレベルも上がるでしょ。暇を見つけて魔物狩りでもするよ」

「その時の護衛はお任せください」

「しっかり守るッスよ!」


 ソフィアとアンナが気合を入れている。

 いや、あの……ウルトを解き放とうかと思ってたんだけど……


「頼りにしてるよ」


 せっかくやる気になってるんだから水を差す必要もないか。


 まぁ戦うべき相手が居るわけでもない、のんびりとレベルも上げればいいだろ。

 強くてニューゲームだ!

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