…掘り終わった時には折角の服は大分汚れていたけれど、でもそんな事はもうどうでもよかった。


掘っている途中で目に入ったのは自然物にしては不自然な色合い。


掘り終わって完全に露出したそれは私と同じ服。


ズタズタにされたそれを身に纏っているのが誰なのかもすぐに解る。


それは何度も目にした姿。


彼女は私と違って何度もその服を着て出かけていたから。


その凄惨な様を見れば何があったのか、すぐに解る。




いつの間にか大分滲んでいた視界を拭い、改めて彼女を直視する。


「…こんなとこにいたんだ…」


彼女が消えてからの日々はとても退屈で辛かった。


私と違って友達も多かったから遊べる機会は少なかったけど、それでも私にとっては気にかけてくれる唯一の存在だったから。


一つ息を吸って彼女に問いかける。


「…ねぇ、誰がこんな事したの?」


…絡みついていた筈の花はいつの間にか消えていた。

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