蒐集倶楽部

老野 雨

蒐集倶楽部

序章

序、 異世のこと

 首都異世いせ。泥中にあったかのようなこの都市はここ十数年で急速な成長を遂げた。

 機械化やインフラの整備が進み、人々の生活は徐々に豊かになった。ことに電気の恩恵は大きかった。

 電灯は異世の町にほぼ完全に普及し、夜であっても足元が明るく惑うことがない。夜の闇は人々のなかでもはやおそれるものではなくなりつつあった。


 ただ、この世ならざるものは存在する。

 それは闇のあわいに姿を隠したにすぎないのだ。


 いや。それらはすでに、堂々と明るみにも姿を現すようになっていた。

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