わたしのナイト、私のひめ

朝香るか

わたしのナイト

 第一皇女という立場から眠れない夜もあった。そのたびに側に居てくれた。

 

 感謝もあるし、好きだけれど、私には私の役目がある。



 守る対象としか見ていなかったのに。

 いつの間に自分の中で存在が大きくなっていたのだろう。


 けれど彼女は立場がある。

 自分にも守る役目がある。


 きっと結ばれることもないままごとの恋。


 ☆☆☆

 眠れない夜も側に居てくれた。

 10歳にもなって恥ずかしいことかもしれないけれど沢山の大人に愛想笑いをうかべて日々を過ごすというのは酷く疲れることなのだった。

「ナイト、側にいて」

「ハイお嬢様。この身がある限り」

 彼は分かってくれている。私がどんなに素の自分を隠しているのか。

 どんなにさびしいと感じているのか。

 分かってくれているからこそ彼は昔話をしてくれる。

 頭をなででくれる。


 そんな日々は終わりを告げたのは16歳の時。


☆☆☆

 その日は私も朝議に呼ばれた。

子供がかかわることではないと、

いままでかたくなに朝議の間には入れてくれなかったのに。


「以上で今日の報告はおわりだ。

それから今日かぎりでナイトにはは宮殿を去ってもらう」


 父の声は威厳が合って自分の声を発するのに怖いとためらってしまうほどだった。

 わざわざ私をここに呼んだのに。ナイトと放されると一方的に言われた。


 昇格で遠くにいく任務を任されたというのなら納得もしよう。

 だけれどもそうではないことを言外から感じ取ってしまう。

 生まれて時からとして側仕えとして仕えてくれたナイト。

 でも今は会談の下でひざまずいている。

 昨日まで私の横で笑っていてくれたのに。


「おとうさま、なぜ彼を私から離すのですか?」

 涙ながらに訴えた。でも父の返事は冷たかった

「もう決めた。もう奴はお前にはそぐわない」


 ☆☆☆

 私はお穣様から離された。

 動機は、私がお穣様に恋をしているから。

 でも叶えるつもりは毛頭なかった。側で仕えられればそれでよかった。

 

 同僚で妻子持ちのオデが彼女に恋心を抱いていた。

 それが間違って伝わったのだろう。

「私は私の自由にいきよう。お嬢様は私の手でオデからまもろう」

 妻子持ちの不倫は重罪。

 オデは有能だからこそどちらの益にもならない疑いはなくしていくべきだ。





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