08.公開停止処分をくらってしまった


久しぶりにこのサイトを開いている。


自らの命を絶つためにロープを買いに行った話と

実際に買った話の2本が

「カクヨムサービス利用規約14条(禁止事項)」の違反になってしまい、

公開停止処分をくらってしまった。


もしかしたら、

この話も公開停止処分になってしまうのかもしれないが、

自分の誕生日の次の日、一度ロープを使ってみた。


グッと引っ張り、脳がフワッとなったところで

とてつもない恐怖が押し寄せ、

ロープを体から急いで離してベッドに投げた。


その場で座り込み、自分の情けなさに涙を流した。




それから数ヶ月が経った。


ゴールデンウィークに大阪の実家に帰省した。


まず関西国際空港から祖母の家に直行した。

「そうまくん、お昼食べていくか?」と聞かれた。


実家で食べるから大丈夫だよと答えたのだが、

「軽食やから食べていき」と言われ

とても軽食とは思えない量のご飯が出てきた。


・白米

・肉じゃが

・卵焼き

・ほうれん草のおひたし

・うなぎ

・味噌汁


とても軽食とは思えない量に

持ってくる時の祖母も笑っていた。


食べている時、

退屈な毎日の中で時々美味しいご飯を食べるってだけの幸せで、十分じゃないのかなと思った。




祖母の家を出て、実家に向かう。


電車から流れる景色は

知っている街並みと、知らない空気。

その空気をピンク色の子供たちが自転車で駆ける。


自分の色が気になったところで、実家の最寄駅に着いた。

実家に扉を開け、母と30分ほど談笑する。


自室に入り、本棚から懐かしい小説を取り出す。

内容も全て覚えている。


パラパラとページをめくったところで

「黄色だな」と思った。


その日の夕食は母の手作り餃子。

父方の祖母から受け継いだ料理らしい。


たくさん食べて、自室のベッドで眠る。


あまりにも快適すぎる。

やはり自分には、実家暮らしはダメだなと思った。

堕落しきった生活をし、子供部屋おじさんになる未来が鮮明に見える。




大阪にいる時、自分の存在がくっきりと分かる。


自分は確かに「ここ」に存在しているというのが

目線や空気で分かる。


決して「東京の人は冷たい」なんていう

何十年前から擦られ倒している話をしたいわけではない。


それが東京の良さでもあるのだが、

東京は他人の町である。


東京は成功者と、成功者になりたい奴が、

成功者になれなかった奴の屍の上でお茶をしたり、セックスをしているような町だ。


大阪に帰りたくない。でも、東京にもいたくない。




自分はどこにもいたくない。


また東京の牢屋に戻るのか。苦痛だな。


ついさっきまで黄色だと思っていたんだけど、

どうやら違うらしい。

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