秋草「春秋祭2023」

上川拓真

vol.1 会いにいこう

俳句結社「秋草」の上川拓真と申します。

どれだけの方がみていただけるのかは未知数ですが、自身の経験、俳句を残すツールとしてこちらを活用させていただきます。


***


東海道新幹線の車内チャイムが今月から「会いにいこう」に変更になった。私が小さい頃から聞きなれた「AMBITIOUS JAPAN!」からの変更で寂しい思いもあったが、いざ乗ってみて聞いてみると非常に心地の良い優しいチャイムであった。コロナ禍を経たからこそ、人に会うという純粋でかつシンプルな行動により尊さを覚えるようになったのだろう。


その初めて「会いにいこう」のチャイムを聞いたのが私が所属する結社「秋草」の春秋祭というイベントに向かうことだった。このイベントは、すごく簡単に説明すると句会の点数をチーム戦で競うというものだ。これに参加したのは

俳句で競うという久々の感覚を味わいたい気持ちがあったのもあるが、なによりもまず尊敬してやまない主宰:山口昭男先生に、素晴らしい秋草の仲間に、そして私が一生大切にしたい秋草へ誘ってくれた親友:野名紅里と会うというのが根底にあった。このイベントの1週間前に車内チャイムが「会いにいこう」に変わったのも偶然ではないのかもしれない。


新幹線に乗った日は金曜日の夜。会社を退勤後そのまま新幹線に駆け込んだ。主宰である山口昭男先生の最新句集『礫』、親友野名紅里の処女句集『トルコブルー』、そして麦酒を抱えて。単身赴任のサラリーマンが多いであろう車内で酒に酔いながら尊敬してやまない主宰、そして愛してやまない親友の句集を眺めながら麦酒を飲む時間は何にも形容し難い時間で、気付いた時には2冊の句集を抱え眠ってしまっていたことはここだけの話。


会社を退勤後2時間足らずで会場である名古屋に到着。その後は野名紅里とその双子の姉(もちろん秋草の仲間)と3人で深夜二時頃まで俳句を語らいながら酒を飲んだ。翌日からのハードな日程を分かっていながらも、花を咲かせた俳句談義を簡単に閉じることはできなかった。今思えば、入った居酒屋がやけに騒がしく、声を張らざるを得ず、3人が自然と興奮状態になっていたのかもしれない。


翌日、短い睡眠時間を経て「春秋祭」の会場へと向かった。

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