少年少女のパワーローダー戦記~メモリーズ~
MrR
手毬 サエの恋路
Side 手毬 サエ
私が木里 翔太郎を好きになったのは戦前以前から。
幼馴染とか腐れ縁とかそんな関係だったの。
私は昔から――自分から見ても、ませた少女であり、同時に攻撃的な性格をしていたと思う。
小学生の時は特に酷かったと思う。
そして、そんな私を止めてくれたのは何時も木里だった。
厳しく叱咤してくれた事もあった。
泣きながら止めようとしてくれた時もあった。
どうしてか分からなかった。
時は流れて中学生になる。
中学時代は正直言うと暗黒期だ。
あまり思い出したくない。
良い思い出もあったが悪い思い出も沢山もある。
どんな中学に通っていたかと言うと893のハローワークだとか刑務所中学校だとか、近隣の店舗のブラックリストに載る中学だった。
近隣の中学生ぐらいの少年のエグイ悪事は大体ウチの中学校だ。
実際、死人が出るぐらいの大きなニュースになるような事件を幾つも起こしたりした。
たぶん中学時代の思い出を纏めたら、ボリュームがあるヤンキー漫画が出来上がると思う。
そんな修羅のような中学時代を翔太郎と共に生き抜き、マトモな高校に進学。
呪われているのか幾つのかトラブルにも遭遇したが、それでも友人は出来た。
幸せだった。
だが世界は。
世の中は残酷だった。
ヴァイスハイト帝国の日本侵攻。
自衛隊の大敗。
学徒動員の決定。
その流れに私と翔太郎は巻き込まれた。
パワーローダーを身に纏い、私と翔太郎は必死に戦った。
戦いは地獄だった。
付け焼き刃の訓練で戦場に放り込まれ、生き残れたのは僅か。
イヤな奴もイイ奴も平等に死んでいった。
私とその友人達が奇跡的に生き残った。
それからも過酷な任務に、まるで自分達が死ぬかどうかを試しているかのような戦いに放り込まれていく。
特に陸上戦艦の攻撃作戦なんかは正気を疑ったものだ。
何度も何度も反乱を起こしてやろうかとか思いもした。
ヴァイスハイト帝国よりも日本政府へ殺意があった。
そして最後は敵味方を巻き込んでの核攻撃だ。
この戦争を通して学んだのは″バカはバカを平気でやる″と言う教訓だった。
実際戦後も日本政府のバカどもは平然とバカをやらかしまくったワケだし、この考え方は間違ってはないと思う。
この地獄を生き残れたのは運もあったと思うけど、愛の力もあったと思う。
翔太郎がいなければ生き残れなかった。
そう思う程に翔太郎の存在は大きかった。
だが翔太郎は超人ではない。
翔太郎を支えた事もあった。
体を差し出してもいいとも思ったこともあった。
そして何時しか私は翔太郎となら結婚してもいい。
同時に私なんかで良いのだろうかと言う不安もあった。
だが翔太郎は私を選んでくれた。
私は正直体に自信がない。
小学生みたいな体型だ。
だけど翔太郎はそれでもいいと受け入れてくれた。
私は幸せだ。
ステキな人に巡り合えて。
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