第16話 エルフ都市内でも攻防
また移動中しか眠れない……
馬車で揺られるのと飛竜の背で揺られる時、片側の脳だけ眠らせて半分起きていて警戒してる寝方しか思い出せない。
もうこの寝方で移動し続けて、一生起きているしかなさそうな気がする。
ヘッタクソで怖い姫騎士とはもう寝ないでもいいけど、姫様とはしたい。
女騎士と生きるの死ぬの言いながら、ギャーギャー叫んでするのも良いが、姫様はレベルも低くてヒットポイントが低いので、すぐ「しんじゃう~」のだ。
ほんの少し強めにするだけで「許して」とか言ってくれる。
でも今回から同行して同じパーティ指定したので異常なほどレベルアップ。
盗賊程度ではなく、包囲していた魔族全員分のキルスコアが経験値になったので、俺と同じだったら脳内でレベルアップの通告が鳴りやまないだろう。
俺以外の冒険者も、労働基準法完全無視の上、手柄取り上げて出世させない方法で鍛えられた?奴は、何人か俺ぐらい強くなってるけど、その成果は上司が盗んでいたので低評価続き。
自殺するか、辞めて逃げだして皇帝に拾われてから、やっとこさ正常に評価されてる。
魔族かアンデッドの上司以外は部下に正当な評価をしないようで、飼い殺しか監禁されて働かされてた。
今は手柄取り上げてた貴族が消えて、ナポレオンの国民兵みたいに士気が高い。
各戦線に人間兵器レベルの奴が配置されて、連戦連勝らしい。
でもスターシップトルーパーの「タレント」みたいに、働かされ過ぎて若いのに白髪のジジイになってるか、俺みたいに睡眠障害で死にかけ。
こちらの戦線でも包囲されてた街の外側からホーリーサンライトすると(動詞)、ちょっと威力が強すぎて魔法無効物理攻撃無効のリッチなども、十階梯魔法で問答無用にターンアンデッドされて塩の柱。
ゴーレムマスターや従魔師なども塩の柱、ゴーレムへの最後の指令が「エルフを殺せ」ならストーンゴーレムも動いたが、動力源の魔水晶も空ッ欠になるまでヌかれたのか動かなかった。
まだ使えるゴーレムも回収、死んでるリビングメイルなんぞも回収、アイテムボックスを駆使して金属回収をして、数千人分の装備を回収していると、城砦内からもダークエルフの手勢が出て来て調査をしに来た。
「な、何者か……?」
「姫様の車列だ、開門して入城の許可を」
「ひ、姫様……」
ダークエルフの兵士連中も脳筋のくせして、俺らが帯同している衛兵やら騎士と同じく、ガタガタブルブル震えて腰が引けていて、神罰が直撃した直下、グラウンドゼロでは膝から下が産まれたての小鹿になって、城砦を包囲していたはずの魔族軍がほぼ全員塩の柱になっているのを恐れていた。
当の姫様も未だにロザリオか数珠握り締めて怯えている。
姫騎士と女騎士も俺を見る目が違っていて、まさかここまでの火力と言うか神罰起こせる奴だとは思っていなかったようで、ほぼ全員塩の柱にされてる魔族を憐れんでいるのか、これほど悲惨な虐殺現場になるとは知らなかったらしく、まだ馬車の中で姫様庇って抱き着いている。
魔族軍もこちらに向かって来ていた連中も何もかも塩の柱。
核爆発に匹敵する爆風で、魔法唱えた俺でも放射線障害があるんじゃないかと勘違いするレベルでキノコ雲。
魔族にも善人はいるようで、爆心地でも少しだが神罰を逃れて逃げて行った。
あれだけの大音響で爆風が行ったり来たりして、爆風に巻き込まれた暗殺ギルドの連中まで神に許しを請うレベルで、周囲を警戒して無事だった魔族も悲鳴上げて逃げ出し、何やら泣き叫びながら邪神と思われる奴に祈りを捧げて、転がるみたいに何度もコケてコケて逃げ去った。
放置しておくと他のと合流した所でホラ吹きまくって、大変な被害だった、神罰が起こったと吹いてくれるだろう。
「開も~~~んっ!」
大声張り上げられるの俺ぐらいなもんで、調べに来た兵士が同行して、姫様の車列なんだと言い聞かせて、何が起こったか分からないが魔族は塩の柱になったと説明して、どうにか撥ね橋が下りて開門されて入城。
普通なら木の上とかにビッシリエルフが並んで、「人間っ、何をしに来たっ?」と凄まれたり、弓をつがえて追い返される所だが、軍事同盟があるので魔族と敵対する時だけは有効な盟約でオトモダチ。
ダークエルフと言えば邪神信仰なはずだが、人間風の都市に住んでる奴らは法(ロー)の側の連中で善神信仰。白エルフも住んでる。
邪神信仰なら魔族側で勝ち組だが、人間側に付いてしまったので首都まで滅ぼされて火の海にされて国家滅亡。
他の都市も包囲されたり降伏して、国そのものが風前の灯火だったはずが、聖国も周辺国も滅ぼして来たので、各都市を制圧するために主兵力が呼び戻され、最前線には姫様の要請で人間兵器が送り込まれて来た。
西の方に宗教的に分裂したエルフ国があって、そこは邪神信仰。
インドとパキスタンみたいに分裂して、ダークエルフ同士なのに血みどろの争いをしているらしい。
北の方には白いエルフの国もあって、やっぱり森に中に住んでる小国。
姫はそこにも入れて貰えず、人間国に保護を求めて来た。
俺と皇帝が七魔将ぶっ殺さなかったら、次は白エルフ国が滅んでいた。
亜人なので聖国の保護対象外だったし「人間以外は魔族同然」扱いだったので、聖国にだけは逃げ込めなかった。
聖国みたいに脳みそも性根も腐り果てた伏魔殿で、悪魔崇拝者のクソが出世競争だけして、宮廷闘争繰り返してる所なら皆殺しにして炎上させても困らないが、ただの邪神信仰の都市にホーリーサンライトぶち込む訳にはいかない。
聖国で宿屋やお食事処を開いてたオッサンやおかみさんは、巡礼者である外国人にもやたら態度がデカくて「ゴミを残すな、退出時には掃除をしてから出て行け」などと五月蠅くて、屋台の串焼き親父まで態度デカくてムカついたので、聖都にホーリーサンライトぶち込んで死滅させても良かったが、故郷を滅ぼしたい奴に滅ぼさせて、親切な神父様や修道女は街の外に逃がしたことだろう。
ダークエルフ都市
姫の入城で敵兵力の包囲を解いての凱旋なのに、誰も迎えに来ず市民も歓迎してない。
紙吹雪が舞い散るパレードとまで行かなくても、市民の歓迎だとか「ド・ゴーール!」的な将軍歓迎の声が出ても良かった気もする。
今回は姫がやったことにしても良し、エルフで無理なら背中に羽生やした天上人がやった事にしても良し。
また美形の王家や貴族家の影武者出しても良し、強面の大将軍とか大僧正でもいるんならそいつの手柄にしても良し。
俺が前面に出ても暗殺の対象にされるだけだし、人間がエルフ国解放したとなると政治的に宜しくないので、今回は国の中だけの褒賞にして欲しいと皇帝からも言われている。
まあ、ガガーリンみたいに英雄扱いされまくって自殺するより、ロケット技師のコロリョフみたいに死んでから赤の広場に埋葬されて、敵国のアメリカにもやっと名前が知れるような扱いにしてくれる模様。
「だ、誰が魔族軍を皆殺しに……」
「いや、全員塩の柱にされたって言うでねえか」
「恐ろしい、神罰が落ちて魔族どもみんな塩の柱だ」
エルフ国内には神罰は及ばなかったはずなのだが、クソ野郎とか嘘つきの売春婦、強盗窃盗犯に恐喝する冒険者、奴隷商人とか高利貸しとか麻薬販売業者は、悪辣過ぎて天使も見逃さずに塩の柱になったらしい。
後で政庁に行ってから被害報告を受けた。
エルフ都市政庁
「此度は大聖女である姫様による、天への請願で神罰が落ち、魔族軍は壊滅、全員が塩の柱となったっ!」
「おお~~っ!」
姫様への神聖化作業が始まり、大聖女扱いされて、神への祈りによって神罰が下されるそうだ。
でも今日から暗殺対象決定。姫騎士がプロデュースして神聖化するので多分失敗する。
姫様の目付きがもう一度変わって、最終兵器彼氏は手放せなくなった。
天然だがある意味政治的に怖い姫様なので、体まで使って全力で俺を篭絡して、何も持っていない亡国の姫から、まず一個目の都市を手に入れた。
俺には必要ないし、維持管理できないので好きなだけ取ると良い。
政庁内でも混乱したまま、まず姫様から魔族の包囲よりの解放が宣言される。
失敗すると内部兵力に殺されるが、相手側からも信頼されたり受け入れられるとこの都市は姫の物になる。
「わたくし、第十二代エルフ王(自称、先王死んでます)、タリアネード・アル・カミントスは、この街の魔族よりの解放を宣言しますっ」
「おお~~っ!」
「姫様~~!」
姫様自分への処刑宣告も発布。多分、旧支配者である太守が姫の存在を許さない。
「そして、包囲されて餓えた住民には、わたくしから食料配布を致します」
「ああっ、姫様~~っ!」
はじめての公務、なのでガッタガッタ震えていたが、自分の仕事はやり遂げた。
何度も何度も、街の旧支配者から「ギリィッ!」と歯噛みする声が聞こえたが配った。
姫様支持率がググーーンと上がって、街の支配者たちの影が薄くなりすぎて、街の解放もできなかった無能、食料調達すらできなかった無能と、魔族全滅させて解放した姫で大聖女、食料まで持って来てくれて住民に配布した聖女として、今までデカイ面し過ぎた旧支配者の太守追放まで可決されて、姫様一行が政庁を押さえた。
「おのれっ、必ず後悔させてやるぞっ!」
あるえ~? そんな事言っちゃうんだ。姫様の方が王族で上位の者なのに。
「お前、王から税金取る権限貰った太守程度だろ? 姫に向かって不敬罪だからな、覚悟しておけ」
「何を言うかっ、滅びた国の姫如きがっ、この街は儂の物だっ?」
エルフ国特有の支配関係があって、この街はコイツの持ち物で、上級貴族的な支配者で太守。姫には徴税権も支配権も無いらしい。
「上下関係とか、街解放したの誰だか知ってる? 使える兵力が多い方が強い訳じゃないぞ、魔族全滅させる魔法、誰が使ったか知ってるか?」
「そのような物は関係ないっ、お前達は儂の逆鱗に触れたっ、もう情け容赦などせぬぞっ!」
「あっそ~」
この都市の元の太守は、姫様に寝返った連中に追い出されて、怒り心頭で私兵を引き連れて政庁から出て行った。
防衛用の兵士が減るのは困るが、食いぶちが減ったのが助かった。
姫様の下に着いた者だけが食料の配給を受けられる。
都市の近くまで来ていて包囲されて入場できなかった商人から「無償で接収」という略奪をやらかしたので更に評判を落として、食料かき集めるのに金使いまくって、もう金を一銭も持っていないマイナス以下なのも露呈。
兵士に給料払えないし、商人達も姫様の所に来てどうにかして欲しいと言って来た。
塩の柱から回収した金属、現在高騰中の武具(魔族製)なんかを渡して損失補填。
太守の軍隊は姫様派から「山賊」指定してやって反乱軍扱い。でも、太守の兵力はまだ街の中にいるのです。
すぐにでも街の中心部に攻め込んで来るか、包囲戦仕掛けてきそうな恐怖映像。
姫様の所に残って兵力で支え「中興の祖」とかに成ったら歴史に名前残せたのに。
聖国軍が置いて行った食料なんかも、聖国が燃え盛る中でサイロごと食料を回収したのも、周辺国の食料積載地からイタダイたのも、アイテムボックス持ちの俺が全部持って行ったから「あいつが盗んだ」「一人でガメて行った」「下級の者に分配しなかった」などなど讒言を頂いて告発され、窃盗犯として処刑しようとした。
また手柄の争奪戦になって手柄盗んで、自分の手柄なんだ自分の功績なんだと言い切る基地外が皇帝の元に殺到したが、あの皇帝は讒言には耳を貸さず、キンニク友の俺を信用してくれた。
その食料の数々は、地域住民に分配して返すはずだったが、任地が変わったので包囲されていた街の住民に、姫様からの供出品として分配される。
神聖化作業の一環だが、食料配布は飢えていた住民にとても効いた。
反姫様派で、この街の支配者だった奴らや、住民はゴミだとしか思っていない連中からは大反対されて、街の兵士や支配者に分配するべきなんだと何度も攻勢を掛けられたが、姫の財産じゃなくて俺の私有財産なので無視して配った。
うん、俺とか姫一行だけ飛竜で来て、エルフ兵士騎士数千人雇って、人間の兵士も混ぜて徒歩移動させて、魔族殲滅して解放。陸上兵力で物理的に城砦支配させて、強制的に旧支配層に「キャイン」と言わせて押さえとけばよかった。
核兵器が無かった世界で、核に匹敵する魔法が出て、放射線被害も無さそうなので何度でも使える。
メテオストライクなんかもあるので、ご希望があれば物理でも破滅させてやれる。
魔族からすると「俺ら全員殺す気か? ヤ~~」という話なので、どんな事をしても俺を殺しに来るか、今なら姫様を殺しに来る。
しかし本国から周辺国のどこそこが危ないと言われると、飛竜でも迎えに来て、また巨大魔法のどれかで殲滅。また移動中しか眠れなくなる。
まあ馬車での寝方と飛竜の上で寝る方法は思い出した。
全部シャットダウンして、脳みそ全部で寝る方法は忘れた。
元暗殺ギルドの連中も、独特の警戒方法で交代で寝て、全員同時に寝るという手順は無いらしい。
発注先に裏切られて全員始末されるとか「お前は知り過ぎた」系の、貴族の家令とか執事に後始末を手配されて、仕事が終わり次第全滅というのが通例。
始末を言い渡された連中も何故か殺人ギルドなので「おや、お仲間じゃないか」という事で停戦。
なので逆に双方で貴族家全員ぶっ殺して金を回収して「金百枚、確かに頂戴しました、暗殺ギルド」「汚い仕事させられた奴は仲間だったので始末できませんでした、殺人ギルド」と書置きして、金庫の中身全部頂戴して去るそうで、仕事が終わったら消えて仕事内容は口外しないのがルールなのに、殺されそうになると発注先の口封じをして、理解できない子供だけは生かして置く、というスタイルだそうだ。
今は「情報部特別工作班」に編入されているので殺されない。
国元で書類仕事してるのは、元冒険者の苦労人の爺さんなので、固いことは言わないし、俺達が何をしているのかは知らされてない。
書類には残せない仕事ばかりしているし、皇帝直属の手駒で、皇帝の「天下布武」には俺とか情報部特別工作班が必要。
他の元冒険者も今は工作班所属か、直接敵対国を倒す軍事組織に所属している。
偉そうにして表に出ると讒言喰らって殺されるが、聖国を誰が滅ぼしたのかは公表されていない。
キンニ~ク帝国に手を出して負けてからは、勝手に内乱か内ゲバで崩壊して死んだことになっている。
その夜は政庁に泊まると即エルフの身内に殺されるので、近所のホテルを接収してご宿泊。
久しぶりのベッドと風呂だったので、目付きが変わった姫様が俺の部屋に来て「報酬?」を支払いに来た。
「旦那様、少し宜しいですか?」
「ええ」
相変わらずヘタクソなのは文句言わず、報酬で篭絡を受ける。
一応全裸で抱き合ってラブラブして眠るのだが、今夜にも刺客がやって来るのは理解しているだろうか?
これでもハニートラップなのだが、国外にまで逃げてきた最弱兵力で残存パーティーなので、七魔将倒せる俺か現在の皇帝の所以外には寄る部無き身。
他の王子も「国家再興」と言う雲を掴むような話を信じて、兵を借りて出立したが全員行方不明。
もちろん魔族やデッカイストーンゴーレムに勝てるはずもなく兵士も全滅。
姫様一人では都市に入場できなかったし、太守もオワコン姫は受け入れない。
「都市の解放ありがとうございました」
部屋には、姫様が召喚したという背中から羽根生やしてる天上人「人形」が置いてあるが、実は人間がやった事なので公表はできない。
そこで来客、と言うか暗殺ギルドの符丁付きノック。
「あれ? もうお客さん来た?」
「四人始末しました」
「あ~、初日から殺しに来たか、ホテル内まで手が回せるんなら、相手エルフ?」
「へえ」
俺は員数外でキンニ~ク魔法帝国からが派遣された護衛。数合わせ的な存在だから、姫様殺しに来た模様。
姫の部屋無人で良かったね、太守の野郎は俺の敵。
暗殺ギルドの連中も、聖国滅ぼしに行く時に俺と同じパーティーだったから、レベル上がりまくりで国一つ滅ぼしたから、アサシンマスターとか忍者頭領だらけ。
経験値倍増アイテムも貸してあったから、もうそれはそれはレベルが上がって三次職にまで転職。
回復魔法使えないだけで、グルカ兵みたいに一般兵士相手なら千人二千人殺し尽くせる。
「太守には死んで貰っとこうか?」
「暗殺より市民の前で叩きのめした方が良いかと」
「そっちか~」
翌朝
でも元の太守の準備が終わったようで、都市全体取り返すために挙兵。兵力ゴリ押しで包囲戦仕掛けて来たので狭い政庁で籠城。
何故かホーリーサンライトは喰らわない設定だそうで「味方には放たない」「エルフ同胞には無効」「魔族じゃないからオッケー」なんだと。
軍議にはハブられたが、姫様から天の世界への請願が行われるそうだ。
「姫様、ホーリーサンライトブチ込んでも良い?」
「い、いけません、同胞にあのような神罰など」
あ、太守の言う通りだった。エルフ同士は神罰喰らわせられません。
そうこうしている間に、内通者が内城の橋降ろして門開いたので、太守の軍勢が入城して来た。
ウォールシーナの門が破られて、鎧の巨人が入って来たか、雌型の巨人が中で変身したぐらいのステータス。
男は家から引き摺り出されて殺されて、嫁や娘は集団レイプ、若い女と子供以外は殺されて、残りは兵士の自由にさせて略奪レイプし放題、生き残れば売られるといった所か?
姫様側に付いた貴族もグチャグチャにレイプされて略奪されて滅亡。
太守のおっさんが言った「思い知らせてやる」のレベルが知れる。
まあ、姫の軍勢は少ないので捕らえられて、例の太守と無理やり結婚でもさせられて、レイプされてメスガキ分からせされるのだろう。
「じゃあヘルトルネードで焼いて踊らせてやっても良い?」
「いけません…… エルフ同胞にそのような真似は出来ません」
本日二度目の拒否。
「殺さない程度で、エリアサンダーブラスト入れてやって、足の神経だけ麻痺させるのは?」
「し、仕方ありません」
許可を貰ったので電撃で神経焼いてやる。
市民も内城で何やってるのか分からないので、エリアサンダーブラスト(動詞)。
足も一時的な麻痺じゃなくって、生涯続く神経の焼損。
槍の先に飛雷して、手近な水袋を経由して電気が通って、右手から右足辺りを通過して、ジュール熱で焼き切って二度と歩行が不可能になる。
良く効いた奴の場合、足が焼け落ちるか中身弾け飛んで、足が腐って無くなる。
給料も出ない事だし、姫様裏切ったので一生治療も受けられず、自分で作った台車で移動して「右や左の旦那様」にお恵みを貰う存在に。
足の切断が遅れた奴は、壊疽か敗血漿で死亡。
偶然民家の男の体を掴んで家から引き摺り出してた場合巻き添えを食うが、そいつは治療を受けられる。
屋内で女の上にのしかかって大ハッスルしてた奴は焼かれないが、逆に市民に表に引き摺り出されて、石打ちの刑で殺される。
長い事台車で移動して食い物も貰えない生活するよりは、死んだ方がマシだろう。
暗殺ギルドの連中も出て行ってやり、小銭稼ぐのに千人程度の一般兵士を次々に虐殺。
兵士を武装解除して「金属」として回収して、政庁にエルフ用の装備として売るか、魔法帝国に売るか? どっちにしろ一生遊んで暮らせる金を手に入れてるが、是非どうでもいいことに金使って働き続けて欲しい。
金と食い物と酒と女は与えているが、地位を気にしない奴らなので余り欲しがらない。
女や元貴族の女やらエルフの美女は与えてみたが、女や子供を祖国に残しても、人質にならないのも痛い。
文字通り一騎当千の奴らだが、痺れるような殺しとか、敵国に潜入させてダブルスパイをして、どっちの陣営に捕まるのかを楽しむ基地の外に住んでる連中なので、手綱も首に鈴も付けられない。
俺なら貴族みたいに裏切らないし、名誉も地位もいらないので、何が楽しいのか知っている上司なので一応ついて来てくれている。
「俺は自分の国を買うんだ、自由にできて、気の合う仲間だけ集めて、自由に暮らすんだ」
何か語り始めた奴もいるので乗ってやる。
「皇帝に申請しておけば報酬として貰える。何か功があって領地を貰った騎士爵とか言っておけば通る。税金も取りに来ないし、誰も来ない所が欲しかったら貰える」
「へへっ、信じないで待っとくぜ、旦那」
コイツは後日本当に領地を貰った。「そんな馬鹿な?」って顔してたが、戦功があったので騎士に命じられて領地を与えられた。
他の奴らも「男爵とか、イモかよ」と恐れ入っていたが、戦功が高い連中は男爵とか子爵になって号泣。
鷹の団みたいに皆殺しにされなかったし、ガッツさんみたいに「人間関係リセット癖」が無い奴は、貴族の地位を捨てて出て行かなかったので領地が貰えた。
三次職に到達した者で、レベル100超えた超越者なら叙爵されるのだが、散々裏切られて殺されそうになった連中なので国家や貴族なんか信用してない。
普通の貴族連中なら裏切ったり信用できない連中なので、利用できるだけ利用してから殺す。
でも今の皇帝アンデッドなので、裏家業の奴らが信用されてお貴族様へ。
そんなもん即放り出して逃げだすかと思ったが、男爵家から嫁を迎えたりして、平凡で平和過ぎる農地なんかに留まって、三次職のアサシンマスターが、領主やって畑耕して生きれたらしい。
と言う訳で今回も勝った。姫様が都市を制圧して勝ち組確定。
内城では手足が焼けた奴らが泣き叫んでいて、患部から煙吹いて燃えてるのまでいる。
太守の手勢三千人ほどは全員焼けてるので、天幕の下にいた太守も幹部も多分同じ症状。
「こ、ここまでの「被害」だとは……」
姫的には被害らしい、転向させて自分の兵にしてしまえば兵力になったが、金も食料も無い太守について行った馬鹿なので、以後も雇わない。
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