戯言シリーズ
吉山田よしお
たとえば犬に産まれていたら
私はときどき無性に犬に憧れる時がある。
好きなときに寝て、お腹が空いたら食べて、ご飯がなければ吠える。そうすると半自動的にご馳走にありつける。
しっぽをふるだけで人は喜んで、お手をすれば拍手もの。
丁寧な排泄を心掛ければ、この世のすべてを手に入れたかのような喝采を浴びることができるのだ。
なんと素晴らしいポジショニング。
人間の赤ちゃんの他にここまで注がれるポジションは飼い主ガチャに当たった犬以外思い当たらない。
さて、ここで本題へうつろう。
飼い主ガチャに当たったポメラニアン♂に産まれていたら私はどんな事を考えているのだろう。(飼い主ガチャに当たるのは大前提だ。それくらいの徳は今世で積んでいる)
ご飯のこと?人様が食べているものにきっと興味津々だろう。
「いい匂いするものばかり食べやがって。こっちは毎日同じもので我慢しているのいうのに、こいつらは我慢というものを知らない。」とでも、思うだろう。
声。
「こいつらの鳴き声は一定じゃないな、品がない。」
行動。
散歩は決して連れて行ってもらっているという意識をもつことはない。
人間のエゴに付き合ってあげているのだ。
そう、ヒエラルキーやホームカーストでいえば、私が最上位なのだから。
当然だ。
とっても傲慢なポメラニアン♂である。
きっとこのポメラニアン♂は愛を注がれづらい。
飼い主ガチャ勝負で圧倒的勝利を果たしているので多少は愛される。
でも、その傲慢さゆえに時折ひどい仕打ちをうけるだろう。
ケージから出してもらえなかったり、眉毛を描かれたり、寝ているところを叩き起こされたり。
与えることで与えられるものがある。
それは犬も人間も例外ではないのである。
いま私の近くですやすや眠っているポメラニアン♀も人間に対して与える気持ちを持っているのかと思うと、急に愛おしく思えてくる。
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