ダンテのお願い1
なんとなく、なんとなくではあるもののエスギスのゲートが出現したのは圭たちのせいであるような気はするけれど、剣心や風馬は圭やカレンがいたおかげでゲートを攻略できたのだと感謝していた。
風馬とも連絡先を交換して必要ならばいつでも連絡してほしいと一つ恩を売ったような形になった。
剣心の家で1日休んで圭たちはまた車で家まで戻ってきた。
またしても濃密な時間ではあったもののカレンが盾だけではなくメイスまでもらえて大幅戦力アップに成功したので良かったと思うことにした。
「ケイ〜、コレタベテイイ?」
「それならいいぞ」
家には相変わらずユファが居候している。
ユファは頭が良くて日本語もすごい勢いで覚えていた。
片言で簡単な意思の疎通なら取れるぐらいのレベルになっている。
どこからかお金も稼いできていて家にお金も入れている。
普通にどこか家も借りられそうだけど家事なんかは圭がやってくれたりするので夜滝の家が楽で出ていくつもりはないらしい。
「それで、話ってなんだ?」
今はユファからダンテが話があると聞いた。
少し身なりが綺麗になったダンテは人形のルシファーを持って夜滝の家を訪ねてきた。
「まずは久しぶりだな。ユファが世話になっているようで済まない」
「そう思うなら早く連れて行ってほしいねぇ」
「ここが気に入ってるようでな。以前のようなボロボロの家からは引っ越したんだが……」
ユファとダンテも互いに連絡を取り合っていた。
ダンテの経済状況は幾らか改善してボロアパートは脱出していた。
しかし夜滝の住んでいる部屋はかなりグレードが高い。
普通のお部屋ごときでは流石に勝てない。
圭が美味しい料理を作ってくれるし、ユファも掃除をしたりフィーネもそうしたことをしてくれるので家の中はいつも綺麗に保たれているしで敵うところがない。
それにダンテは割と細かく口を出してくることもあるけれど圭や夜滝はそんなに口うるさく言ってもこない。
どちらの家にいたいかは明らかなのだ。
今もユファは冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して飲んでいる。
「そのことはいいよ」
お金は入れてくれるし家にB級覚醒者がいてくれれば防犯としても強力である。
多少ユファの距離が圭に近くて夜滝やフィーネが不機嫌になるものの普段は部屋で同じく何かしてるので邪魔になることもなかった。
今の所デメリットが少ないので夜滝も許容している。
「今日は協力を頼みたいことがあって来たんだ」
「協力? 何かあったのか?」
「俺はこれまでいくつか悪魔が関わっている拠点を潰してきた」
ダンテの活動も本格化していた。
下調べした悪魔教の拠点を攻撃して悪魔の力を受けた覚醒者を倒していた。
貯め込んでいたお金を奪い取ったりしているのでダンテの生活も良くなっていたのである。
「同時に悪魔たちの使徒についても調べていた」
悪魔が力を与える相手には強い力を与える使徒と使徒から力を与えられたり弱い力しか与えられない一般的な配下がいる。
ルシファーは直接力を与える使徒しか持たないが他の悪魔教には使徒だけでなく一般の配下が多く存在している。
悪魔教にダメージを与えるならただ一般の配下を潰していくよりも悪魔が力を与えた使徒を倒す方がいい。
使徒は悪魔教でのリーダー格にもなるし倒すべき相手として調べていたのである。
「暴食の悪魔ベルゼブブの使徒である男を見つけた。アザード・ロドリゲスというアメリカの資産家だ」
「聞いたことある名前だねぇ」
「知ってるの、夜滝ねぇ?」
「なんで見たのか覚えてないけど世界でも有数の美食家で……お金持ちだから色々と食べて回っているとか見た記憶があるねぇ」
「その通りだ。家がカジノのオーナーをやっていてアザードも役員となっている。かなりの大金持ちだ」
圭がスマホでアザード・ロドリゲスのことを調べてみると簡単に情報が出てきた。
流石に悪魔教なことは出てこないが二人の言う通りにアザードはアメリカのカジノを経営する資産家一族に生まれた次男であった。
さらにA級覚醒者として覚醒していてカジノ会社の顧問兼役員として役職を持っていて、覚醒者としての活動も含めてかなりの大金持ちであるようだった。
悪魔の力を受けているからA級覚醒者なのだろうなと圭は思った。
「こいつがどうしたんだ? アメリカにいるんだろ? アメリカに連れて行けってことか?」
アザードが悪魔教なことは理解した。
けれどもだからといって何を手伝うのか圭には予想もつかない。
アメリカに住んでいるようだからアメリカに連れて行けとでもいうのかと考えた。
「アメリカに行ってもアザードを倒すのは厳しいだろう。いやむしろアメリカではほとんど不可能だろう」
会社役員でもあるアザードは覚醒者の護衛も雇っている。
A級覚醒者だから自分で戦うのが一番いいのであるがアザードはさらに自分の周辺を護衛の覚醒者で固めていて攻撃するのは難しい。
アメリカで普段活動している場所はゲートではなく人も多くいるオフィスであるし襲撃するのは難しいだろうとダンテは考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます