アツアツ、モフモフ1

 時は少し遡る。


「よしっ!」


 やはり力は必要だと実感した。

 ユファの時もギリギリであったし、塔の十階からはさらに難易度が跳ね上がるし強くならねばならないとおもっていた。

 

 圭たちはゲート攻略の機会を増やした。

 現在大型ギルドが第三次太羽島奪還攻略作戦ために太羽島の方に行ってしまったのでゲートの攻略権を比較的手に入れやすくなっている状況も都合が良かった。


 かなみも第三次太羽島奪還攻略作戦には不参加だと聞いているのでそこも心配しなくてよくなった。

 安全にレベルを上げるためにD級ゲートに圭たちは挑んでいた。


『村雨圭

 レベル50

 総合ランクD

 筋力C(C+)(英雄)

 体力D(D+)(伝説)

 速度C(英雄)

 魔力D(一般)

 幸運C(神話)

 スキル:真実の目、導く者

 才能:類い稀な幸運』


 圭たちも色々と戦ってきた。

 気づけばレベルも上がってきていて圭もレベル50に達した。


 総合ランクもD、覚醒者等級にしてC級になった。

 C級になると高等級までいかないが強い方の覚醒者の部類に入り、覚醒者としての生活も安定するぐらいになる。


 相変わらず尖ったところのない能力値をしているが、みんなが割と尖っている中でその間を埋めるような能力であるのは意外と良いのかもしれないと思っていた。


「ようやくD級脱却かい?」


「ああ、ちょっと時間はかかったけど何とか行けたな」


 安全のためにとD級ゲートを攻略していたので少し時間はかかったがなんとかC級まで上げられた。

 夜滝を始めとしたみんなもレベルが上がってきている。


 このままレベルを上げていけば遠からず夜滝たちもC級になるだろうと思われた。

 そうすれば今度はC級ゲートを中心に戦って行ってレベルを上げていけばいい。


「もうちょっと戦いたいところだけどもうモンスターいなくなっちゃったな」


「そうだね。空から見てもみつからないよ」


 C級に近いD級になったからだろうか、D級モンスターもさほど苦労せずに倒せるようになった。

 朝から始めたゲート攻略であったが昼頃にはゲートの中にいたほとんどのモンスターを倒してしまった。


「次のゲート探してもらわなきゃな」


「でも大丈夫かねぇ?」


「何が?」


「最近結構な急なペースでゲート攻略をしている。最初はE級とかを必死に攻略していたのにこんなにゲートを攻略しては目をつけられてしまうかもしれない」


「……うーん、確かにそうかもね」


 すでに圭たちは覚醒者協会に何回か疑われている。

 積極的に協力したり伊丹と仲良くなったりとどうにかしてきたけれど、D級ゲートをいくつも軽々と攻略していては最初に登録した情報と明らかに違すぎてまた疑われるかもしれない。


 一度覚醒者等級検査を受けて等級が上がったということは示しているが、C級まで上がっていたら向こうもそうですかで済ませられない。

 どこかで伊丹と相談しておく必要があるかもなと圭は思った。


「ただC級まで上げたいよな」


 だいぶレベルも上げてきた。

 圭の感じを見ると自分もC級は目前であるとカレンは思っていた。


 自分もC級に上がりたいと思うのは当然のことである。


「まあ強くなれるならその方がいいもんな」


「でも違法にゲート攻略するわけにもいきませんもんね」


「自由狩猟特別区域もモンスターはE級までだもんな。奥に行けばD級も出るけど申請が必要でゲート攻略と変わらないしな」


 最初の頃にお世話になった自由狩猟特別区域は基本的には特別な申請もいらずに入れる。

 一応D級やC級まで出るところもあるのだがそこは危険なので行くのにも事前申請が必要だった。


 事前申請が必要ならゲートを攻略することと変わらない。


「事前申請してもバレないようなところがあればいいんだけどねぇ」


「事前申請してもバレないところか……」


「悪いところはダメだよ?」


「もちろん分かってるさ」


「ピピ……プニ」


 何かを思いついたような顔をした圭の頬を波瑠が冗談混じりにつついた。

 多少問題はあるけれどもしかしたら一石二鳥になるような場所があるかもと思ったのだ。


 そしてなぜかフィーネも波瑠のマネをして圭の逆の頬を指でつつく。


「まあとりあえず今はここを閉じてしまおう。ここ最近ゲートも攻略してお金にもかなり余裕できたしモンスター引き取ってもらったらなんか食べに行こう」


「さんせー!」


「スシ、ヤキニク、テンプラ!」


「どれか一つ一つにしてくれよ?」


 ーーーーー


「こーこー?」


「まあ確かに……バレにくいかもしれないねぇ」


 圭が思いついた場所は塔の中であった。

 細かく言えば圭たちは塔の八階に来ていた。


 なぜ八階なのか。

 出現モンスターであるレッドフォックスがD級相当のモンスターであるので一応レベルアップも期待できる。


 さらには八階に関して圭たちはシークレットクエストがあることを分かっていながら塔を登ることを優先してスルーしていた。

 この際だからレッドフォックスを倒してレベルアップを目論みながらシークレットクエストもやることができないかと圭は考えたのである。


 それに八階をクリアしたら九階もまだ残っている。

 何階をクリアしましたということはわざわざ報告しないので覚醒者協会では圭たちがどこまでクリアしたのか把握していない。


 上手くやればレベルアップしながらシークレットクエストもクリアできる計画なのであった。

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