みんなまだまだ成長中1

「つまり北条勝利は神に届く才能がある人を殺してきたってこと?」


「多分そうなんだと思う」


 マーシェントアーケケインから衝撃の裏切り者の名前を聞いてから数日後、デビルカウを倒すのにみんなが集まったのでそこで北条勝利の話を伝えた。

 日本でもトップクラスの覚醒者が人類の裏切り者であるという話をみんなも信じがたいようだった。


 北条といえば覚醒者の中でもいわゆるヒーロー的な印象の人であるので余計に受け入れ難い話である。

 圭たちはリウ・カイに襲われた時に助けてもらった恩もある。


「僕も北条さんには会ったことがあります。とても良い人だったんですが……」


「うん、俺たちも悪い印象なんて一つもないからな」


「どうして人類を裏切ったんだろう……」


「どうしてだろうな? 脅されてとか、そんな可能性もあるしな」


 倒したデビルカウをトラックに積み込みながら圭たちは暗い表情で北条のことを考える。


「だがつまりは世界を救おうと思ったら北条勝利を倒さねばならない時がくる……かもしれないということだね?」


「そうだな。裏切った理由はどうあれ……そのうち戦うことになるかもしれない」


「爺さんにこのこと言ったら怒り狂いそうだな……」


 和輝は北条と親しい。

 おそらく人類の裏切り者であると言ったところで聞き入れられないだろう。


 このことは和輝には言わない方がいいかもしれない。


「つか考えること多すぎるよな。レベル上げに塔に……少し前は悪魔なんて連中もいたんだし。お兄さんが教えてもらった情報だって少なすぎる」


「そうだね。裏切り者よりも仲間になってくれそうな人も知りたいよね」


「あー、それはあるよな」


 神に届く才能というやつが必要ならそれもまた今後のために必要である。

 裏切り者を知って警戒することも必要だが、こちら側の人や神に届く才能を持つ人を教えてくれてもいいんじゃないかと思う。


「まあ俺たちはコツコツをレベル上げていこう。この世界の神様たちもこの世界を救うために協力してくれるみたいだしな」


 むしろ北条にバレないように活動するためには少しずつ強くなっていくのがいい。


『村雨圭

 レベル32

 総合ランクE

 筋力E(E+)(英雄)

 体力E(E+)(伝説)

 速度E(英雄)

 魔力E(一般)

 幸運D(神話)

 スキル:真実の目、導く者

 才能:類い稀な幸運』


 デビルカウを倒していたら圭のレベルも上がった。

 能力値的には変わっていないのだが総合ランクが一つ上がって等級でいけばD級相当になった。


 D級ぐらいになると覚醒者としても多少の余裕を持って生活できるぐらいの強さになってくる。

 能力値が変わらないのに総合ランクが上がったということは同じ能力の中でも内部で段階があるのか、スキルなども強さとして成長して総合ランクに影響するのかなどこちらも謎が多い。


『弥生波瑠

 レベル30

 総合ランクF

 筋力E(E+)(英雄)

 体力F(F+)(一般)

 速度D(D+)(神話)

 魔力D(英雄)

 幸運E(英雄)

 スキル:風の導き

 才能:有翼のサンダル』


『八重樫カレン

 レベル28

 総合ランクF

 筋力D(D+)(伝説)

 体力D(D+)(神話)

 速度E(一般)

 魔力E(英雄)

 幸運F(一般)

 スキル:大地の力

 才能:不屈の再生力を持つ肉体』


 波瑠とカレンもレベルが上がってきた多少の違いはあれど能力としてはそんなに大きな差が今のところはない。

 ただこうして能力並べて眺めてみると同じ才能値でも伸び方に違いがあることはよく分かる。


 波瑠の能力でいえば神話級の速度が伸びることはともかく同じ才能値である筋力と魔力では今のところ魔力が高い。

 カレンも速度と幸運なら速度の方が伸びるみたいである。


「後は……こいつも役に立つんだろ?」


「ピピ?」


 才能がある人がこれから必要ことは分かっているのだけど才能が分からない存在もいる。

 それはフィーネである。


『フィーネ

 レベル10

 総合ランクH

 筋力G

 体力G

 速度G

 魔力F

 幸運G

 スキル:物質吸収、形態変化

 才能:貪欲な学びの意思』


 フィーネにも能力がウィンドウで表示されるのであるがその能力値にみんなのような括弧書きで神話とか伝説とかの才能値がない。

 さらにはフィーネの能力値はフィーネの形態によって変わるということも分かった。


 細かな形態にこそ差はあるけれど大きく分けて攻撃型、防御型、速度型の3つの形態になれて、筋力、体力、速度の値が変化する。

 今のところ最大でも等級でE級、書く能力値もD級ぐらいまで変化されられる。


 変えられる形も試しているうちに自由度が高くなってきた。

 見たところ今のフィーネの体積の2倍ぐらいには体の大きさを変化させられる。


 ふと見たら朝にやっている女子アニメのメタリックなフィギュアみたいになっていて驚いたこともあった。

 カレンには言わないけれど変化できる量の最大値は勝手に食べたミスリルぐらいなのではないかと夜滝は予想していた。


 だからもっとミスリルを食べさせればフィーネがもっと強くなるかもしれないなんてことも考えていた。

 ただミスリルは覚醒者用の装備だけでなく今では魔力伝導率の高い素材として電子機器にも使われていてかなり高級なのでフィーネに食べさせるのも楽な話ではなかった。

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