フィールドワークもするのさ1

『大竹優斗

 レベル138

 総合ランクD

 筋力D(一般)

 体力C(英雄)

 速度D(一般)

 魔力D(一般)

 幸運E(無才)

 スキル:無し

 才能:無し』


『名前小橋安美

 レベル122

 総合ランクD

 筋力E(無才)

 体力E(一般)

 速度D(英雄)

 魔力D(一般)

 幸運D(無才)

 スキル:無し

 才能:風の道に乗る』


 人のステータスを勝手に覗き見ることは気が引けてしまうが身近なところだけではどうしてもデータが足りない。

 悪いが他の人のステータスも覗き見させてもらった。


 捕獲チームはC級とD級の覚醒者からなるチームでチームリーダーの大竹優斗と以前実験の時に手伝ってくれた女性覚醒者の小橋安美はC級覚醒者であった。


 なんとなく一定の法則のようなものも見え始めた。

 今現在覚醒者は覚醒者等級検査というもので等級分けがなされている。


 Aが1番高く、Gが1番低いのだけど真実の目で見た等級はこの等級検査によって分けられる等級よりも1つ下の等級に分類されるのが今のところ見た人に共通している。

 スキルや才能といったものが正確には何か分からないのだけど全員が全員持っているものではないみたいだった。


 こうなると見てみたいのが高い等級にある覚醒者のステータスである。

 テレビや動画の配信で試してみたが動画では相手のステータスを見ることができなかった。


 ついでに色々真実の目を試してもみた。

 一応広く色々なものの情報を見ることができるのだけど一般的な物に関しては一般的な説明しか出てこない。


 真実の目が反応して情報が出てくるのはゲートや塔から採れた物であった。

 物の等級だったりどんなモンスターの素材なのかの説明だったりを見ることができた。


 そう考えるとこの真実の目というスキルは鑑定系スキルの上位に当たるものかもしれない。

 真実の目について夜滝に話すべきかどうか悩みながら日々は過ぎ去っていった。


 ちゃんと人事の方で圭の雇用も決まって寮の方も決まった。

 寮の方は時間がかかるなと思っていたらなぜか夜滝の隣の部屋が空いたから隣の部屋となった。


『毒棒君mark53

 平塚夜滝がメインで開発をした槍。

 C級モンスター溶毒蛇の牙から作られた先端は魔力を込めると毒が出る。

 適性魔力等級はC級であるが少量の魔力でも牙は反応を見せる。

 平塚夜滝の改良により、高い魔力の伝導率の素材を使うなどして魔力が少なくても高い毒性を発揮することに成功した。

 適性魔力等級:C

 必要魔力等級:G』


 夜滝が触れたことはなかったけれど槍も改良に改良を重ねてきていた。

 そのためにバージョンごとに少しずつ変わっていて、毒棒君もバージョンとしては53番目になるようである。


 こっそりmark何ちゃらと呼んでいるのは知らなかった。


「面倒だけど仕方ないねぇ」


 圭は今ようやく慣れてきた研究室を離れて山の中にいた。


「なんでいきなり実地調査なの?」


 夜滝に連れられて捕獲チームと共に低級のモンスターが出るゲートに向かっているのだ。

 圭は会社から貸し出された装備と毒棒君、それに記録用の機材が入った荷物なんかを持っている。


 ここまで全てのことは研究室で行っていたのになんでいきなり外に出ることになったのか。


「それがねぇ、捕獲用の檻に空きがないらしいんだよ」


 モンスターを捕らえておく檻は特別製だ。

 魔物の力に負けないだけでなく特殊な能力によっても破壊されないようにモンスターの素材を使った丈夫な物であり、RSIの中でもみんなで共有で使う物なのである。


 今回槍がほとんど完成品に近いレベルで出来上がったのだけどそれを試すためのモンスターを捕獲しておくための檻に空きがなかったのである。

 他の研究室で使っていてすぐには空かないようなので毒棒君の威力を確かめたい夜滝はしょうがなくモンスターのところに自分が赴くことになった。


 たまたま望みの等級のモンスターが出てくるゲートがそれなりに近いところにあった。

 近いといっても地図上の直線距離の話であったのだけど。


「……誰だい、実地調査に行くなんて言い出した奴は!」


「夜滝……さんですよ」


「喉乾いた!」


「はいはい」


 捕獲チームの人たちがいるのを忘れて夜滝ねぇと呼んでしまいそうになる。

 圭と夜滝の関係が近そうなことはバレているので呼んでもなんとも思われない気もしなくはないが一応仕事中なのでちゃんとしなければいけない。


 圭は水筒を取り出して夜滝に渡す。

 中身は砂糖を入れて甘めにした紅茶である。


「こんな山奥だなんて聞いてないよ」


「地図だけみて近いから行こうって言い出したのが悪いんだからね」


「まさか車まで入れないようなところだとは思わないじゃないか!」


 現在歩いているのは木々が生い茂る山の中。

 ゲートは山の奥に出現していて、車で来ることができたのは麓までだった。


 少し前までは登山道があったのだけど今はそこから外れて道なき道を進んでいた。

 元々インドア派な夜滝は体力もない。


 ステータスでも体力はGだった。

 圭も同じく体力はGだけど体を動かすのは嫌いでもないので基礎的な体力はあった。


 ステータスの体力とはちょっと違うのだろう。

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