2ー48【自分を顧みて2】
◇自分を
聖女がどのくらいの時間を掛けてあの爺さん先生に銃の詳細を教えるだろうか。
外に出た俺が初めに見たのは、アレックスを挟むようにして守る二人の元・騎士。
おいおい……女の子の方は、さっきまで気絶してただろ、まさか、また都合の良いように言い訳でもしたんじゃないだろうな。
「――な、何をしにきた!!」
吠えるアレックス。
もういいよ、お前。
俺は木造りの階段に腰掛ける。
「聖女が先生と話をしてる。俺の精霊は残ってるけど、話しやすいように出てきただけだっての……」
「せ、精霊?」
「なんだ、そりゃ?」
ん、こいつ等、精霊を知らないのか?
あ、そうか。数年逃げ隠れしてたからか。世界の情勢も知らずに、ただ怯えて逃げていたんだ。
誰から?そりゃあ……俺、なのか?アレックスに言わせれば。
「精霊ってのはだな……」
説明めんどくせー!
こいつ等に教える義理もないってのに、なんで俺がこんな説明役なんて。
「な、何だって言うんだ!教えるんだ、ミオ・スクルーズ!」
くっ、こいつマジで。なんでこんな小物野郎に成り下がってんだよ!!
苛立ちが優先し、俺はアレックスに冷たい視線を浴びせ……「ひっ!」と声を上げ、引き攣る顔を見た後、女の子を見て言葉を掛ける。一番、話が通用しそうだし。
「……精霊ってのは、この世界に新しく誕生した種族だよ。さっき俺の隣に……ああ、君は気絶してたか。この小屋にいるフレイって子だ。隣のあんたは見ただろ?」
俺の言葉に、盗賊風の男が
「かつて大昔、この世界に存在した種族だが、女王国の地で封印されていた……それを、そこの馬鹿の父親が解放したんだよ」
「だ……誰が馬鹿だ!!」
ま、その解放には俺も一枚噛んでしまってんだけど、いいよな言わなくて。
「精霊は、他の種族と契約して生きる特殊な種族だ。魔力がないと生きていけない性質らしく、最悪は自然消滅する。精霊は、名前が存在する意味を持つ……俺の精霊、フレイの名は、フレイウィ・キュア。【治療の精霊】だ」
「ち、治療?ですか?」
「そ。君と、そこの馬鹿の怪我を治したんだよ」
「だ、誰が頼んだ!!僕は、君を!!」
噛み付くことを止めないアレックス。
しかし女の子は。
「――ありがとう、ございます」
「……カ、カルカ!?どうしてこんな男に、頭を下げるんだ!」
「アレックスさん……いえ、団長。少し口を閉じていて下さい。これは私たちにとって、数年の情報を知るチャンスなんです」
「そうだぜ団長。どれだけ団長がこの青年を嫌っていようが、せっかくの機会だ、聞いといたほうが得策ですって」
部下の二人は懸命だね。
アレックスは、俺が嫌いだからなんだろうけど、状況判断は下手くそだなぁ。
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