1ー35【反撃の口火2】
◇反撃の口火2◇
大量の
【ルーマ】は遠くにいる相手と連絡を取れる、この世界でも珍しいアイテム。
それを大量に生産できれば、銃器を売り出した【クロスヴァーデン商会】にも対抗は出来るだろう。
だけど。
「ティア……これ、どうやって【ルーマ】に加工するんだ?」
「紋章を刻むの。この結晶の中に……念じた魔力で文字を書く感じかな」
中ね。だから【ルーマ】は、結晶を
「なるほどな。となると……一つ一つ手作業か。それは面倒いな」
個数は問題ない。
俺が【
魔力で文字を書く感覚か……む、難しそうだ。
「エルフ族が得意なのよ……だからニイフ陛下に許可をもらって、エルフ族の若者たちに協力してやってもらう予定よ」
そう言えば魔法得意だよな、エルフ族。
しかも無詠唱だったり、超強力なものだったりと幅も広い。
「そっか……」
紋章を刻むのは、頼るしかなさそうだけど。
俺は大量の箱を見る。
中身は全部結晶。【ルーマ】って、確か価格は物凄い額なんだよな。
「ミオ?どうかしたの?」
「うーん、いや……高すぎても売れないだろ?【ルーマ】は高級品だし、数も少ない。あ、数は俺がどうにでも出来るんだけどさ」
俺の考えに、ネイル嬢が。
「では、形状を変化させるのはどうでしょうか」
「形状?」
ミーティアは不思議そうにする。
形を変えてどうするのか、そんな感じかな。
しかし俺には、その言葉が光明に取れた。
「――それだぁぁぁっ!」
「「きゃっ!」」
大きな声で叫んでしまった。
二人は
「ミオ、なんなの急に!」
「み、耳が……」
「ごめんっ!でもそれなんだよ!【ルーマ】の形状、それで思いついた!!」
ミーティアの手に乗る結晶を受け取り、マジマジと見る。
サイズは手の平に軽く乗る。鶏卵よりも小さい感じだ。
「何を?」
「なぁ二人共、【ルーマ】は大きいのも小さいのもあるよな」
「そうね」
「はい。公国首都にも一つ、巨大なものが現存します」
それがどうしたのかと、そんな視線を受ける。
そうさ、それが本題だ。
「デカいのも小さいのも、同じ【ルーマ】なら……更に小さく出来るだろ?」
「えっと……うん、多分」
腕組みで考える。
真剣な顔で、見た事のある【ルーマ】を思い出しながら。
「この結晶を、例えば【
【
しかし早まった。この結晶、まだ正式取引確定してなかった……やべ。
「「あ」」
「あ!やっべ!ごめんっ!!」
怒られる!!
「い、いえ……まぁ購入していただけるのなら?」
「ええ……買います」
呆れられている。これ絶対呆れられている!
「すまん。ティア、でもほらこれ……小さいけど、ちゃんと【ルーマ】としては使えるはずだからさ……これを、俺の考えに使わせてもらえないか?」
「え?でも……【ルーマ】を」
【ルーマ】よりも、もっと活用できる品を作ってみせるよ。
そして、俺たちが求めた道具の代用にする。
「大丈夫、通信魔法はそのまま使用できるから。【ルーマ】に、他の機能を追加すると思ってくれればいい」
「え、でも……それは」
「刻む紋章が増えそうですが……」
いや、いけるはずだ。
基盤さえあれば、この結晶一つで【
流石に地球産の形状はアレだから……この世界に適した見た目に変えるけど。
「俺に任せてくれ。きっと最上な作品を創ってみせるから……だからティア、この結晶、全部買ってくれ!」
「……うん、分かったわ……ネイルさん、購入させていただきます」
あれ、なんだかセリフだけだと駄目な男じゃ。
「え……いいのですか?ミーティアさん、そんな簡単に……結構な額になりますよ?」
「ミオがいうなら、それが正解だと思うし……間違っていると思ったら、きっちりと止めるから……ふふふっ」
ミーティアは笑いながら書類にサインをする。
交渉は成立。この【ルーマ】の結晶全てを、【コメット商会】で購入だ。
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