帰り道

第13話

「あれ、タクシーは?乗らないんですか?」


はるさんはタクシー前を素通り。


「歩いて行きます」


「領収書は?」


「なくしたことにして下さい。ご迷惑かけてすみませんでした」


「でも…迷子になっちゃう…」


「嘘です。怖くて行きたくなかったから、遅れたんです」


「そうなんですか?じゃあ、護衛しまーす」


「…仕事戻らなくていいんですか?」


「直帰していいってことだったので!それより、お腹空いてないんですか?もう夕方だし、昼食べる暇なかったですよねー?」


「…空いてます、けど…空港でしか食べたことなくて」


「何時のやつですか?」


「時間はまだあって。嘘ついてるんです…」


「なーんだ!じゃあ沖縄の話聞きたいです。その辺で食べましょう」


なんかおいしそうなパスタにしよう!適当に店に入ろうっと!勝手に決めちゃった。


「私、こんなおしゃれなお店入ったことない…」


はるさんはおどおどしている。


「わぁ、おいしそー!」


メニューを開いてみたら、結構いろいろあるねぇ。


「…足助さんは元気でいいですね」


「え?そうですか?」


「はい。素敵な笑顔に、助けられました」


正面に座ったはるさんは、落ち着いた笑顔である。


「そ、そんなに褒められたことないから…恥ずかしいなぁ」


「そんなに…?かっこいいのに?」


「え、や、やだなぁ…かわいい人から言われるの照れる」


「か、かわいいだなんて…言われたことないです」


「え?モデルさんなのに?」


「言われないですよ。普通」


「へえー?そうなんだ。注文しなくちゃ!お腹空いた!」


はるさんに笑われた。うるさいって言わないんだ。

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