親と子の壮絶なる戦い
黒猫
第1話ご近所トラブル…
高校1年の尚文は、まじめな親に心配をかけまいと頑張るどちらかというと世間一般で言ういい子だった。
昼間の定時制高校に通い、授業は毎日真面目に受けていた。
しかし友達は出来ず、先生に目をつけられたのか何故か体育と、情報処理の授業は苦手で、単位も毎年もらえず落としていた。
普段はお昼休みが苦痛でたまらない生活を送っていた。
尚文の家は、市内でもわりかし大きめの有名なマンション。
そこのローンを返す為に父親は中小企業の役職だったが、母親はパート。
両親は真面目に働き定時には帰ってくるごく普通の家庭だった。
それは数年前の話だ。
上の階には独身の若い男性が住んでいた。昔役場で、その人と受付で会った事がある。
その人は、私に身分証明がなくて、住民票が取れなかった時、役場の上司に掛け合ってくれた。
同じマンションに住んでいる住民だから保証すると交渉してくれた。
そんな事までしてくれる優しい人だった。
ところがある日、町内会で役員の選考があり、大変な役どころの会長役の白羽の矢が、上の階の人に立ってしまった。
理由はしっかりもので頼れる、男性と言う事らしい。でも私は今年度の役員をやっていたので一人暮らしの彼には負担になると反対した。
だが抵抗も虚しく、多数決により上の階のこの男性が次の年の会長に決まってしまった。
実はこれが、事の始まり。
その事がきっかけで、上の階の男性は、病みはじめた。
会長を引受け男性は、人がいいので断われなかった。
何でも引き受けその上仕事も1人で抱えこんでしまっていた。
周りの役員もそれを見て助けるどころか、軽蔑したかのように離れていき、会長になった男性は追い詰められ、どんどん病んでいった。
しまいには仕事を辞めて、マンションの周りをぼっーと徘徊するようになっていた。
声をかけても立ち止まって、ただ真顔でこちらを見ていても反応がない。
そのうちマンション中の噂になり、この男性を追い出す形になっていた。
それは管理人に、ある住民から「その男性が怖い」と通報があったためだった。
その後、管理会社が男性の身内を調べて、引き取って欲しいと連絡する事になった。
マンションの住民達が会長に仕立て上げ、1人の男性を病気にしたあげく、遠くの親戚に引き取る手続きの流れを作り出したと言うのは、さすがに怖いなぁと思った。
明日はわが身。
あんなに優しくて親切だった住民をここまで追い詰める事が出来るなんて、恐ろしい所に自分も住んでるなぁとつくづく考えさせられた一件だった。
そこに数年前に引っ越してきた問題の新たな住民。
それからが、わたし達と上の階の住民のバトルの始まりだった。
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