「雨の降る日」
雨が降るといつも思い出すことがあった。私と今は亡き弟と遊んでいる私達を。
私達はいつものように弟と楽しく遊んでいた。天気は曇。雨が降りそうな雲ばかりだった。それでも、今は雨が降ってないから、と言って外に遊びに行った。
何時間かしたあと、雨が強く降ってきてしまった。私達は川で遊んでいたので、氾濫を起こしては危ないと思い、弟に早く帰ろうと告げた。でもそこには弟はいなかった。
「
いくら呼んでも弟はいなかった。これは緊急事態だと受け取った私はすぐにお母さんのところへ行った。
「お母さん!!!遥斗が!!!!」
お母さんは私の顔で大変なことが起きてると察知したのか私についてきた。
「
「わかんないの!川で遊んでて雨が降ってきたから帰ろうと思ったら遥斗がいなかったの!!!!」
私達は川に着いた。
「遥斗ーー!!!」
「遥斗返事してーー!!!」
だが、返事はなかった。私のせいで遥斗になにかあったらどうしよう…!
私達は川の中にまで入って探した。それでもいなかった。
「美春!私達だけで遥斗を探すのは無理だわ!警察を呼びましょう!」
私はお母さんに従うしかなかった。
警察がすぐに駆けつけてくれ、救助隊も来た。
『そっち側に男の子はいないのか!!!』
『いません!!!』
『じゃあ今すぐこっちも探せ!!!』
救助隊の方がたくさん探してくれた。
『お母さん、娘さん。ここは危険です。今すぐ家に帰ってください。ここは私達に任せてください。』
仕方がなかった。私がいては救助隊の方の迷惑になってしまう。
「美春。帰ろうか。」
「…うん。」
何日か経ったある日、救助隊の方が家に来た。
そして、なにかを抱えていた。まさしく、遥斗だった。
「遥斗!!」
「娘ちゃん。落ち着いて聞いてね。遥斗くんはもう息ができません。目を開けることもありません。私から言えるのはここまでです。あとはお母さんにお話があるから、娘ちゃんは、気持ち整えてね…。」
そう言うと、救助隊の人はお母さんの方へ向かった。
私は体が冷たくなった弟を抱いた。私が家で遊んでいれば…川なんて行かなければ…
ずっと後悔が残る出来事であった。
雨が降るとこの出来事を思い出す。そして思い出すたびに私は仏壇に向かって、手を合わせる。
「ごめんね。お姉ちゃんのせいで遥斗をひどい目に遭わせちゃったよね。恨んでも良いんだよ。だって小さかったもの。もしまだ生きていたら、遥斗は18歳だったよね。成人してたのにね…ごめんね…遥斗、天国でも元気でね」
私が仏壇の扉を閉めようとしたら、
――――姉さんこそ俺のところに来るんじゃねえぞ。俺が悲しくなるからな。
という声が聞こえたような気がした。声が大人になっているけど、喋り方は昔と変わらないなぁ…
遥斗の分もちゃんと生きて老人になったらそっち行くね。でもそっち行かないように頑張るね。見守っていてね。
私はそう言って静かに扉を閉めた。
※この話はフィクションです。みなさんも川には注意しましょう。
3000字以内の一話完結型短編小説 凪 @_harunohi_143
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