第19話やさしさの代償

「マゼランはイタリア人でね、スペイン王朝から援助されてあらゆる海の冒険をやったそうだ、その時にアメリカ大陸の南端にマゼラン海峡を発見したし、インド航路も発見している。」優しい口調に博学を醸し出していた。

のに・・・。

 優しさの代償は、時に反比例のしっぺ返しをお見舞いすると、決まっていた。

 そのダメージはボディブローをワンツーででまともに食らった時と同じで息子が交通事故に遭い死ぬほど心配してやつれた時と等しかった。

 直美の男性不審は酷くスレ違い様に男の気配が漂えば即反応して嘔吐した。

 窮極だった。

 もう彼の声や彼が打ったラインのテキストを読むのが苦痛で、思案の末ブロックした。

が、しかし、直美の潜在意識は心の襞に絡まった亮一を全て摘除するのは困難を極め漂う亮一の面影を求めて身体が無意識に動いていた。まるで夢遊病だった。

 抱き締められたら反射的に顎が上を向く。キスされ易くするためだった。

今思えば、手前勝手な振舞いが多かった。

  全て身体で覚えていた。

一縷の時は、連れ子の心配を親身になって良く世話を焼いてくれていた。

 窮地に陥れば窮地の状態の人が良く分かるし考えも理解出来る。気が付けば良く行く神社の境内の前に立つ、

「一縷さんは事業が忙しかったのね・・・、ごめんなさい。」はあーっ、とタメ息を突けば全てが終わる事があっても良いのに、神様は何て意地悪なの?

 両手を合わせて眼を閉じた。

ディイープな溜め息を突いた後で閃いた!と叫び一度賽銭箱の中を覗き二百五十円を投げた。同時に一礼二拍手二礼をして踵を返し小走りに参道を駆け抜けて常盤兼生が所信表明演説をしていた沿道へ行き接道の事務所で選挙の後片付けを終える時間を待ち、「男と出逢う前にやり直したいから3年前に連れて行って!?」と懇願し、「スーパー看護師のナオちゃんが言うなら仕方無いか!」と、時間旅行へ旅立った!

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