第4話車椅子のタイムマシン
黒豆病院では食事の時間は殆どこの光景が観られた。
職員用兼非常階段の4階最上段踊場から下り階段の踊場に男が乗った車椅子が一台、最下段の方を見下ろしていた。
15段は有る。
しかも勾配は30%だ。
スーッ、ハァー・・・。
一回腹式呼吸をした直ぐその後で「ヨシッ!」両足を駆って50センチ前進した!スライド電源をオンにしてモーターを始動させた。
シュルシュルシュル~・・・。最速でシリンダ内の摩擦音がハウリングしていた。
車椅子の車輪が階段の一段目に落ち、そこから落ちるベクトルに任せて前傾姿勢を取り、車椅子の手摺をしっかりと握りしめる!
モーターの暖機が終了し地球の引力と回転数が最高潮に達したモーターエンジン!段鼻に車輪が当たり特別な干渉ノイズを発していた。
一段、二段とスローな降下を始めた。
次にガガガッガガタンガタン!と、自動で走り出した車椅子のサイドブレーキを解除!
丁度その頃だったわ下階から階段を一段ずつ登って来る看護師の私、(たかはしなおみ)が上階を見上げて、「まだ20段は有るわね!」ふぅ~と、ダイエットの為にエレベーターを使わず自らの足で上った事を後悔し始めていたのよね・・・。
何あの音!?頭上で階段を叩く様なノイズに気付いて上を見たとき貴方は物凄く顔を歪めて人生最大のピンチですってな、表情だったわ・・・。
しまった!階段の下段の向こう側は鉄筋コンクリート仕立ての壁だ!男は計算ミスを後悔していた!遅かった。そんな顔ネ。
「ウアーッ!」
は?あなたの叫び声に気付いて貴方を見たわ!?
顔面の前に両肘を上げ橈骨を頭上に着けて、ジェット機の緊急着陸の態勢の様に頭を抱えてギュッと目を瞑り背中を丸めて膝上に頭を近づけた貴方を!
叫び声?私が見上げた途端、車椅子に乗った貴方が、車椅子ごと壁に吸い込まれて行くのが眼に入った!もう、怖かったのよ?
「
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