第71話

 

「はーい! みんな! おはよう! それともこんにちはかな? 宇宙のイルカさんだよ!」


:おは!

:おはようございマース

:また朝から元気やね

:朝……? もう11時だぞ……?

:ど、土曜日だから……

:久しぶりに見たけど、やっぱかわいい

:おはようさん

:お、今日は宇宙船からか


「そうだよ! 今日の話題に、宇宙が関係あるからね!」


:宇宙に関係ある……

:なんだ? また小惑星帯に突っ込むのか?

:普段から地球外惑星で色々やってるから今更感

:今日は1人か


「今日はちょっと違うんだよね〜♪ ねぇねぇ、みんなは『フェルミのパラドックス』って知ってる?」


友達と内緒話をするように、優しく問いかける。


:あっあっ

:好きです(クソデカ告白)

:フェルミのパラドックス?

:知らんなぁ

:知ってるけど今ので全部吹っ飛んだわ

:そらなんじゃい

:なんか聞いたことある

:フェルミのパラドックス……なるほどね

:フェルマーの最終定理なら知ってる

:ガチ恋勢がコメント出来てないんですが……


「知ってる人もいるみたいだね! それじゃあ、これから説明するね! てことでそいっ」


:おお、壁が透明化した!

:朝から宇宙か

:何度見ても理解出来ん技術だよ……

:イルカちゃんがフェルミのパラドックスを説明するのめっちゃウケる


「まず、フェルミのパラドックスを簡単に言うとね、『地球以外の惑星っていっぱいあるけれど、宇宙人とか地球外知的生命体も多分いるじゃん? それなら地球にそれらが来ないのはなんで? おかしくない?』っていうのが、フェルミのパラドックスだね!」


:なるほどなぁ

:すごい簡単に言ったなwww

:ほへぇー……ん?

:ちょっと待ってほしい

:ん?

:気づいたかww

:あれw

:イルカちゃんって…その宇宙人に当てはまる、よな?


「そう! 私はこの『フェルミのパラドックス』をひとりで壊してしまったのである!」


:www

:草

:草

:フェルミ「彼らはどこにいるんだ?」 イルカちゃん「来ちゃった♪」

:草

:破壊神イルカちゃん……

:来ない理由を考える問題に、来ることで解決してるもんなwww

:前提を覆すなw

:イルカちゃんの星でフェルミのパラドックスみたいなことって起こらなかったの?


「私のとこでフェルミのパラドックスみたいなことはなかったらしいよ?」


:あらそうなの?

:なんか意外


「どっちかってゆーと、その宇宙人側だったからね!」


:確かにそうだわw

:生身で星間飛行できる種族だもんなぁ

:そもそも人じゃなくてドラゴンだし……

:侵略的外来種((ボソッ

:強い(確信)


「多分だけど、フェルミのパラドックスみたいなことを考える前にもう他の星とコンタクト取ってたんじゃないかな? 予想だけどね! 今度お兄様に聞いてみよ!」


:考えるより前に体が動いていた……!

:ハイドラってアグレッシブすぎね?

:んまぁ、ミコちゃんとヤヨイさんとか、いつぞやのアリスちゃんとかも簡単に接触しとるしなぁ

:イルカちゃんが配信する以前のフェルミのパラドックスならなぁ……


「そうなんだよね。私が来る前なら色んな考えがあって、例えば『物理的に星間飛行する手段がない』とか『文明の存在する時期がずれていて、既に崩壊している』とかね」


:ふむふむ

:文明の崩壊っていうと、ヤヨイさんのとこみたいな事か……

:今考えると、移動手段なら充分にあんだよなぁ

:正解は『来る理由がないから』だった…?

:それはそれでなんか嫌だな

:他にもなんかある?


「昨日久しぶりに寝る前に色々調べたんだけどね〜、黒暗森林理論? ってゆーのと合わせた考え方で、『他の文明と相互理解できなくて、戦いになって負けるかもしれないから』ってゆーのがあったね」


:こくあんしんりん理論?

:久しぶりに寝るってなんだよ…

:なんか中国で出版された宇宙についての本…みたいな?

:そうか、そもそも言葉が通じなかった可能性があるわけか

:お兄様も最初は何言ってるのか分かんなかったしなぁ

:……その理論でいくと、イルカちゃんって結構危ないことしてるのでは?


「それなら心配いらないよ! 私のところに飛んできた電波とかをちゃんと調べて、安全そうだなーってとこにしか行かないからね! てゆーか、そもそもコミュニケーション取れる生命がいる星って少ないからね」


:事前に調査してから地球とコンタクトとったんか。それなら安心やね

:政府機関からしたら全く安心できないと思うんだが?

:草

:……あれ、もしかしてイルカちゃん以外のとこにも地球って技術レベルバレてる?

:それはまずいのでは?

:まずいか?

:ヤバいでしょ!


「そうならないように妨害工作してるから大丈夫だよ! お兄様が!」


:ありがてぇありがてぇ!

:なんかすごいことを聞いた気がするんですが?

:知らぬ間に護られていた…!

:国防…いや、地球の情報防衛をお兄様1人でやってるってこと!?

:さ、さすがお兄様ッスね(震え声)

:流石はお兄様です!!


「でしょー! ……それで! 結局このフェルミのパラドックスって、私が地球に来たせいでなんかおかしくなっちゃったじゃん?」


:うん

:『うん』ww

:ストレート過ぎるww


「それで、他にもそういうあるのかなーって! 宇宙の不思議を紐解いていこー!」


:お、おぉー!

:紐解くっていうか、紐を千切るっていうか……

:パワー系の回答が連発されそう

:草

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