第67話 森と霧1

 

「ん〜、ミコちゃんが言ってたのはここら辺だね」


:こんな森になんかあるのか

:こっちの方って今まできた事あるっけ?

:針葉樹林だなぁ

:雪結構積もってる?

:相変わらず寒そうな格好してるぜイルカちゃん…

:今のところ普通の森だ

:見てるこっちが寒くなってくるんですが


「寒そう? 全然平気だよ! マイナス273.15℃でもよゆー!」


:絶対零度なんですがそれは

:まぁハイドラだもんなぁ

:宇宙で行動するにはそれくらいじゃないとね

:もうそれくらいで驚かなくなってきたわ

:※ここの視聴者は特殊な訓練を受けています


「そういえば、生身で宇宙空間から配信したことってなかったね。今度やってみよっか!」


:おぉー!

:おー……生身!?

:生身…ってことはイルカちゃんの竜形態が見れるってことか!?

:初お披露目!

:いつになるのか……

:お兄様みたいに首が増えたりは……


「しないよ! あれはお兄様が特別な存在だからね! それとも、私も頭がいっぱいあった方が良かったかな?」


:そんなことは無いぞ!

:どんな姿でも受け入れようじゃあないか

:お兄様があの姿だからな、イルカちゃんだって似たような感じだろ?

:兄妹ですからね!

:和風なドラゴンになる可能性が微レ存…?

:かわいい系のドラゴンになるかカッコイイ系か


「お兄様からは『繧ォ繝?さ繧、繧、縺ェ縲√ヵ繧」繝シ縺ッ』って言ってたから、カッコイイ系かな!」


:なんて?

:なんて???

:今のアレじゃん、人間には理解出来ない音ってやつじゃん

:一体なんて言ったんだお兄様は…

:いつかイルカちゃんたちの使う言語も理解したいところ


「…てゆーか、いつの間にか霧出てる!」


:急に出てきたなぁ

:これは……何かある?

:森の中で霧か

:なんかちょっとファンタジー感出てきたな

:迷いそうな森来たな



:そこそこ歩いたけど景色があんまり変わんなくね?

:そんだけ広い森ってことよ

:何もないとかやめてほしいけど、どうだろう

:今までもそーゆーの何回かあったしな……

:ミコちゃんなんか言ってないんですか?


「あ、そうそう。ミコちゃんが言うには、霧が濃くなる方向になんか水場? があるらしいよ!」


:水場?

:というと?


「えっ……水場としか聞いてないから……うん、わかんない!」


:草

:正直でよろしい

:川でもあんじゃね?

:ミコちゃんろくに調べなかったんか…

:まぁ、ネタバレされるよりはね?


「たしかにそうだね! こういうのは自分の目で見るのがいいんじゃん!」


:せやな

:それな

:わかるわかる

:ま、俺たちは画面越しなんですけどね

:それを言っちゃおしめぇよ


「だよね〜…って、なんかさっきより霧濃くない? 濃いよね? 私は霧程度で見通しが悪くなることはないんだけど…みんなちゃんと見えてる?」


:濃くなって…るなこれは

:何分か前と比べたら結構濃い

:カメラに水滴付いてないしあんまり気づかなかったわ

:急にモンスター出てきたりとかしない? 大丈夫?

:そのための刀よ

:むしろ野生動物の心配をした方が…

:てかイルカちゃんに襲いかかるモンスターとかいるの? 逆に


「ちょっと〜! 少しくらい心配してくれてもいいじゃーん! …たしかに怪我をするとは思えないけどね?」


:だってイルカちゃんだし…

:だってイルカちゃんだし…

:ほら

:魔術使える動物ならワンチャン……?

:ないなぁ

:そもそもハイドラの外皮が硬すぎですからね

:戦車砲に無傷そう


「それは……そうなんだけど。でも! やっぱり心配してほしいじゃん! ハイドラだって死なないわけじゃないんだからね!」


:気持ちは分かる

:かわいいね

:ちょっとやそっとじゃ死なないでしょうに

:死んでも復活しそう

:中身はまだまだ子どもなんやね

:推定100超((ボソッ

:お、お兄様が500歳くらいだし…

:気にしちゃいけないよ


「お兄様も年齢的には子どもの範囲なんだけど……って、なんか変な場所ある! ほら!」


:変な場所?

:なんか見つけたか!

:霧で何も見えないっす…

:流石のカメラさんもこの霧ではダメなのか…!

:なんかそういう機能とかないん?


「えー、見えない? じゃあ……」


─バサッ!


「それっ」


─ゴオォッ!


「これでどうかな?」


:!?

:!??

:おぉ! 霧が晴れた!

:すげぇ!

:えぇ…

:風の音ヤバかったぞ今……

:力技で草

:てか周りの木めっちゃ揺れてんじゃんw

:霧って風でどうこうできんの…??

:これが きりばらい か


「ふっふっふ♪ 今のはね、乾燥した空気を作って広範囲に送風したんだよ!」


:空気って作れるんだなぁ(白目)

:そこら辺は前からそんな感じだっただろ!

:ご存知の通りイルカちゃんは、火・水・氷・雷・風・土・光・闇の属性を使用出来るハイドラだ。

:チートや


「で! あれ見える!?」


:あ、なんかあんじゃん

:何あれ? 湖?

:湖っぽいな

:森の中に湖があるのか

:凍ってない?


「凍ってはない…てゆーか、なんか湯気でてない? うーん? 近づいてみよっか」


:湖に……湯気……????

:え、何? 温泉にでもなってんの?

:霧では?


「…っとと。段差になってた。…匂いも平気そうだし、下まで降りてみよっか!」


:下りるって、バリアか

:イルカちゃん空中浮遊できるんだっけ?

:飛ぶか!

:なんで空中を移動する方法が何種類かあるんだよ…

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