笑って

ゆき

第1話変だ

「見てこれ!」

「なんだよそれ!アハハ!」

 マジックペンで手に落書きをする。友達はそれを見て大きく笑う。

 笑わせれた。嬉しい。


「見てこれ!」

「なにそれ」

 マジックペンで手に落書きをする。クラスメイトはそれを見て吐き捨てるように言う。

 笑わせることができなかった。でも楽しい。


 変だ。すごく変。それは自覚してる。小4の頃はみ~んな笑ってくれた。

 高1の今誰も笑わない。理由は明確。すごく幼稚。精神年齢何歳だよ。

 人を笑わせるのはすごく楽しい。嬉しい。笑わせることができたら途方もない満足感に包まれる。

 昔、どうすれば皆を笑わせることができるか考えた。そうだ。頭のおかしい人を演じればいい。

 そうするとみんなは確実に笑ってくれた。嬉しかった。

 今同じことをすると突き放される。頭のおかしい行動、言動は自分に跳ね返ってくる。そこで普通なら「羞恥心」がこみ上げてくるはず。なのに私は「楽しい」って感じる。ほんっと頭悪い。


 私はそのうち、頭のおかしい行動を楽しさを覚えていた。どこかで歯車がズレたのだろう。

 そのうち同性からも嫌われていった。一部の男子とかからは私の行動がウケてるらしいけどどこまでいったら「満足」になるか、そのハードルが上がっている私には全く満足できなかった。

 人から嫌われるのはもちろん気持ちのいいことではない。だから学校に行く前に「今日は静かに」と念を押す。

 だけどどこかでスイッチが入った途端、「静かにする」と決めた心は跡形もなく消えてしまう。

 静かにする努力を捨てたことはない。でももうめんどくさくなってきて、その努力も段々しなくなってきた。

 でもある日、あなたと出会ったんだ。私はもっと努力すべき。そう思い出すことができた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る