2-2
放課後。
寮に帰ると、遥楓はいなかった。俺はどこに行っただろうと思い、思い当てて、思い当たった。そういえば、この間もあそこに居た気がする。はまなすの咲く海岸、あの灯台の下に。
俺は着替えて走って行った。前と同じように、前回と同じように。
「やあ、転校生。なんだい、また来たのかい」
遥楓は寝転んでいた。草むらに寝転んでいた。
「ああ。遥楓に会いに来た。前もここで会ったから、ここに来れば会えると思った」
「え? なに、僕に気があるのかい?」
「いや、そういうわけでもないんだが」
「なんだ」
「すまない」
「謝ることじゃないよ、転校生は悪くないんだから」
「そうか」
「うん、そうだ」
潮風が吹いた。波の音が大きく聞こえる。今日はこの間よりも少し荒れているだろうか。
「それで、なにしに来たのさ。本当のところは」
「ああ、ええとな、それが」
「歯切れ悪いね。言いにくいこと?」
言いやすいことでは、決してなかった。それはもちろん聞きやすいことではなかった。なんというか、重たい話題だ。頼まれたとはいえ、その依頼主の名前は多分、いや決して出してはいけないだろうし、俺が聞く以上は俺の発言であり、責任はそこにある。
「なんでこの学校を創ったんだ」
「ああ、そう来るか。なるほどね、それが聞きたいこと」
「ああ、俺が知りたい」
「ふーん。まあ、いいや」
寝転んでいた遥楓は状態を起こして隣を勧める。隣に座れと言うことか。
俺は座る。彼女の隣に。潮風に混じって、違う香りがしたような気がした。
「少し長い話になるけど良いかい」
「構わない」
俺はそう言った。
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