『高齢者外出制限基本法』
やましん(テンパー)
『夏期高齢者外出制限基本法』
『これは、猛暑による、妄想のお話しであります。』
🌞🌞🌞
🚶........
夏場の昼間の気温が、常時43度を越えるようになり、場所によっては、50度に達したりするので、政府はついに、『夏期高齢者外出制限基本法』を制定したのでありました。
簡単に言うと、65歳以上の高齢者は、午前10時から、午後7時までは、基本的には、外出できないとするもので、例外は、通院、納税、投票、近所の買い物、通勤、公務、などいくつか。
ただし、例えば、診察券とか、納税通知とか、投票入場券とか、個人情報カードとか社員証とかを、携帯所持する必要があり、緊急事態では、後刻確認となる。
とか、されています。
違反すると、罰金があります。
科料ではなくて、罰金です。
いくらなんでも、やりすぎだろ。
と、一部の野党などは反対しました。
しかし、この法律には、裏がありました。
🌏️
『赤血トウキョウ首相、うまくいってるかな?』
第3代大統領が、尋ねた。
『さて、あまりに暑いので、まあ、だれもどうにもならんでしょうな。いま、トウキョウ中心区は、摂氏47度あります。火傷しますよ。』
『ふふん。まあ、安全が図られているのだ。』
『あたしゃ、あまり賛成してないのはご存じでしょ。』
『わかっとる。あなたは、シニア党の支持をうけているからな。』
まだ、32歳の大統領が言った。
トウキョウ州首相は、68歳である。
いま国内は、55歳未満の国民が構成する、『国民党』と、それ以上の国民で構成する、『シニア国民党』が二大政党の座にある。
大統領は、国民党。首相はシニア国民党出身だ。
しかし、少数政党はいくつかあるが、なかでも第三極として存在しているのが、70歳以上の国民からなる、『改革国民党』であった。なにしろ、高齢化が進んでいるから、基礎になる国民は増える一方なのだ。
『シニア党』より、伝統的に、ちょっとラジカルなところがあり、生活ストライキも辞さない。
へたすると、ストライキによる死者が多発するが、へこたれない。
つまり、こうした過激な高齢国民が、生活ストライキをすると、政治的には、かなり厄介なのである。
とくに、国際的な、人権問題になりかねないのが、与党の最大の懸念であった。
つまり、それを、うまく押さえ込む狙いがあった。
🏮
しかし、『シニア国民党』がどう、動くかも、焦点になっている。
早い話し、どっちに付くかである。
『改革国民党』には、あまり権力や資金はない。年を重ねた金持ちは、だいたい保守の『シニア党』に入るからだ。
しかし、みな、等しく年はとるわけだ。
しかも、昨今、なみの高齢者は、かなり苛立っていた。
革新系の『改革』に走る高齢者は、次第に多くなっている。
70歳以上が、みな『改革』に行くと、なんとか落ち着いていた二大政党制が困ることになりかねないから、大統領は、この、やたらな暑さにかこつけたのである。
『シニア』は、敢えて対立はしないだろうと見ていた。
しかし、そこにあらわれたのが、あの、『つるくさくさ』であった。
大変強力なカリスマだった、つるくさくさは、あっという間に高齢者の人気になった。
『たちあがれ、晩刻の高齢者よ。』
つるくさくさは、呼び掛けた。
『原始、高齢者は、神であった。しかし、いまは、どうか? ただの財政のやっかい者となり、ひたすら、嫌われているのだ。ならばひたすら働けと言われて、たしかに、それには一抹の理があるが、しかし、個人の体力などに常に適している場所は容易にはない。大概は、無理な安い労働にさらされるのだ。いじめと言って過言ではない。かといって、いまや、年金でまともに暮らせるわけではない。しかも、この、猛暑。まるで、奴隷に等しいのだ。これで、よいのか? しょくん。あなたがたは、奴隷に甘んじるのか? 若者にひたすら屈するのみか?』
つるくさくさは、すぐに『改革国民党』の旗頭になった。
🌞🌞🌞🌞🌞
しかし。
猛暑は、いっこうに、収まらない。
次の年には、夏場の最高気温がついに、55度を越え、さらに一挙に酷くなっていった。
一方、冬は、極度に寒冷になった。
地球各地に、超巨大嵐が吹き荒れ出した。
気温差が大きくなれば、風は強くなる。
地球の気象は、実はとなりの金星に、急激に近寄ってきていたのである。
戦争も出来なくなった。
地球社会は、大概は、もはや崩壊に瀕したのである。
まもなく、つるくさくさも、熱中症にたおれた。
かれは(かのじょかもしれない。)、政治からは手を引いたのである。
外出制限とかの話では、すぐに、なくなってしまった。
人類は、もはや、存亡の危機にあったからである。
🥵
これにて、このお話は、やめました。
もう、暑すぎて、手に負えません😅
『高齢者外出制限基本法』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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