第80話 あの人は、どこに?

 このエリアは、何という設定なのか、よくわからないけれど…

何だかにぎやかで、楽しそうな雰囲気の場所だ。

しかも至る処に、いい匂いが漂っている。

「確かにケイタなら、ここに来ても、おかしくはないかも!」

俄然アキも、元気になってくる。

「ゼペットじいさんって…どこにいるのかしら?」

ここはさしずめ、屋台が建ち並ぶ、繁華街のような場所なのだろうか?

しかも先ほどから、にぎやかな音楽が聞こえてくる。

「何だか…遊園地みたい」

 おかしなものだ。

このファンタジーランド自体が、テーマパークみたいなものだからだ。

こうなると、ケイタでなくても、ワクワクと血が沸き立ってきて、

遊びたくなるのは間違いない。


 すると数メートル先で、ピーターがこちらを向いて、立っているのが

見えている。

「あっ、ピーターだ!」

「おーい!」

 ピーターも、アキたちに手を振っている。

その時、バサバサっと音がして、ショータの乗っているペガサスが、

アキたちの目の前に、舞い降りて来た。

「よっ、待った?」

「ううん、今、着いたトコ」

「ユウジは?」

何気なく、上を見上げると

「おーい!」

ドラゴンに乗ったユウジが、こちらに向かって、手を振っているのが

目に入った。

「さっき…ノワールに会ったわよ」

早速ショータに、話しかける。

「ノワールって、あの黒猫?」

「そうよ」

「何か言ってた?」

ユウジもショータも、アキを取り囲む。

「特に…何も」

うまくはぐらかせて、何も聞き出せなかった自分が、悔しかった。

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