第60話 カガリが好きなのは…

「ねぇ、どこに行くの?」

 どんどん海の上を、飛んで行くピーターを見て、アキは不安に

なってくる。

「さぁ?心当たりのある所に、行くんでしょ?」

カガリはとても冷静だ。

というよりは…むしろ嬉しそうでもある。

「カガリちゃんって、もしかして…

 ピーターのことが、好きなの?」

隣に座るカガリに向かって、アキは小声で聞いてみる。

「えっ?何を言っているのよぉ~

 私はただ、あのピーターパンに会っているんだと思って」

やけに大きな声で、言い返す。

「ふぅーん」

(カガリちゃんってば、本が好きだからなぁ~

 もしかして、ピーター推し?)

フッとそう思うと、アキはニヤニヤとする。

「じゃあねぇ~ピーターの心当たりって、どこだと思う?」

ニヤニヤ笑いを浮かべたまま、カガリに聞いてみる。

するとカガリは、さらに目を輝かせ、

「それは、決まっているでしょ!

 永遠のライバルのところよ!」

キッパリとそう言い切る。


 2人がコソコソ話し込んでいるのを、聞いているのか、聞いていないのか…

ピーターは、海の真ん中で、急にまっすぐに急降下する。

「あれ?海の上だよ」

近くで、ユウジが声を上げる。

だが、カガリにとっては、それは想定内だったようで

「やっぱりねぇ」とつぶやいた。

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