第三話 「職員室での衝撃」
クラス巡りと自己紹介を終えたあと、私は職員室へと足を向けた。
ここで校長先生とはお別れだ。
このあと校長先生は長期出張で名古屋の高校に視察をしに行く予定があるとのこと。
「では、私はこれで」
「えぇ、ありがとうございました」
校長先生と別れたあと私は職員室までの廊下をゆっくり歩き始めた。
ここか。
身だしなみを整え、扉をノックしようとしたその時。
扉が開き、中から一人の若い男性教諭が出てきた。
「あれっ?君もしかして.......あぁ! やっぱり!」
その男性教諭は妙に納得したような顔をしていた。
そして、澄ました顔でとんでもないことを口走ったのだ。
「Hカップですね?」
..........
「あの......(冷)」
「初対面の女性に向かってそれは無いんじゃないですか?」
彼が誰かは分からないがそこに立たれるとものすごく邪魔だ。
「日達先生...彼女すごく嫌がってると思いますよ?」
変態男.....日達先生の後ろにもう一人女性教諭が立っていた。
一言で表すならクール。
「そんなストレートに言わなくても.....由美ちゃん....」
「名前で呼ばないでください。セクハラで訴えますよ?」
とにかく中に入れないからどいてほしいのだが
「立ち話も何だし中にはいったら?」
クールな女性教諭にそう言われ私は職員室へと入った。
「えっと....君は今日赴任してきた非常勤講師で良いんだっけ?」
「はい。」
そう言うと、女性教諭は他の教師を前へ集めた。
「じゃぁ、まず私から。」
「
「よろしく頼む」
クールビューティーなこの女性は近衛先生と言うらしい。
「次は僕!僕の名前は
須藤先生は深々とお辞儀をした。
礼儀正しい。
第一印象は重要だろう。
相手にどう見られるかで今後の態度に影響してくる。
「じゃぁ次は俺で!俺の名前は
隣の近衛先生が日達先生の頭に拳を入れていた。
「日達先生は見た目の通りの図太い男でな......」
「事あるごとに女性に手を出そうとする..まぁ悪いやつでは無いのでゴミとして扱ってほしい。」
近衛先生は真顔で怖いことを言ってきた。
この学校は一体どうなってるんだか.....
近衛先生は他の先生の紹介を着々と行っていった。
「教職員は事務職も合わせて20人程度だ」
「あと、もう一人日高という教諭がいるが...」
近衛先生は言葉をつまらせる。
「あぁ。確かに日高先生はいたりいなかったりしますもんね」
日達先生も相槌を打つ。
「さっきもいたんだが、彼女は何分コミニケーションが苦手でな」
「まぁ、会った時は挨拶ぐらいしてほしい」
教師の自己紹介が終わり、次は私の番となった。
「自己紹介の前にこの学校でSchool Spが導入される話はご存知ですよね?」
確かめておく必要があった。
いきなり警官だと明かすにはまだ情報不足だからだ。
この学校の教師にもSchool SPについて認知されているかを知る必要がある。
「あぁ。もちろん知っている。確か今日だと聞いているが?」
私は名刺をカバンから取り出した。
「どうぞ」
教師と事務職両方に一枚ずつ私の名刺を渡した。
「この名刺は?」
近衛先生は気づいていないようだった。
というか全員が困惑したような顔をしている。
名刺ではわかってもらえなかったようだ。
そこで私はよりインパクトの行動に移った。
私は警察手帳を広げた。
「警視庁から出向してきました。青葉・フォン・エステシャンです。」
「この度School SPに配属されました。」
敬礼とともに私は自分の身分を明かした。
「「ケケケケケケ......警察!?」」
職員室の中に衝撃が広がった。
「あなたが、School SP?」
さっきまでクールだった近衛先生も驚きをあらわにしていた。
私は自分の仕事について伝えれる範囲で伝えた。
「なるほど....表向きは非常勤講師ですか......」
「えぇ、できれば非常勤講師として接してもらえれば生徒たちも安心できるのではないかと」
生徒に警察だと言ってしまえばそれこそ不安を煽りかねない。
余計な行動は慎むべきだと判断したのである。
「しかし....我々としましてもあなたは一応警察の方なので
生徒の方にも何かしらの説明を行う必要があると......」
近衛先生はしばらく悩んだ顔をし、こちらを見た。
「では、非常勤の警察関係者ということで生徒に説明をしたいのですが、
よろしいですか?」
それならまだSPであると説明するより柔らかい表現になるだろう。
「お願いします」
私は頷き、承諾をした。
「ちょうど始業式なので歯切れがいいでしょう」
「これから体育館の方に生徒を集めるので青葉さんも」
私達は職員室をあとにし、体育館へと向かった。
次話:「警護開始」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます