第三章

動き出す者たち

 ――約二週間後。


 ここはダグル迷宮。その出入口の外側付近だ。

 ここにはエルとシルフィアとログスとララファがいる。


 あれからシルフィアは、一週間後に医療施設をでた。勿論キキョウも、同じ日に施設をでる。

 シルフィアが医療施設にいる間、エルとログスとララファは毎日のように見舞いに来ていた。

 退院後シルフィアは、まだ療養が必要だろうという事になる。そのため、一週間後にダグル迷宮に行くことにした。

 その間ラクドサスとキキョウは、地下二階層に行きログスとララファの兄を探し歩く。しかし、昨日まで探していたがみつからなかった。

 因みにエル達は、このことについて全く知らないのである。


 そして現在エル達は、迷宮に入る前に確認をしていた。


「……ログスにララファ、遅くなって……ごめんね」

「シルフィアさん、仕方ないですよ……怪我してたんだし」

「うん、ログスの言う通り。確かに兄さんのこと心配だけど……ね」


 そう言いララファは、ニコリと笑みを浮かべる。


「本当にありがとう。だけど、私がいなくても三人で行ってくれてもよかったのに」

「いや、本当はそうしようと思った。だけど、ログスとララファがシルフィアも一緒にってな」

「エル、そっかぁ。ハァー……じゃあ、今日からロスした分を挽回しないと」


 それを聞きエルとログスとララファは、コクッと頷いた。


「そういう事だ……じゃあ、そろそろ行くか」


 そう言いエルはダグル迷宮の中へと向かい歩みを進める。

 それをみた三人は、エルのあとを追った。



 ――場所は、倉庫街の奥にある酒場へと移る――


 ここは酒場の二階にあるセルギガのための部屋。

 セルギガは窓際に立ち外を眺めていた。


(エルが動いたと連絡があった。やっとダグル迷宮に入ってくれたか。このために眷属を集めたんだからな)


 そう思いながら不敵な笑みを浮かべる。


(仲間に張らせるも、なかなか迷宮に向かう様子がなかった。……何があったか調べさせたが、まさかのシルフィアの怪我。まあいい……計画は遅れたが、今日決行する)


 そう言いセルギガは、机に向かい座った。

 そして眷属や仲間に連絡をする。



 ――場面は変わり、デスナイトメアキメラのアジト――


 ここにはラクドサスとキキョウがいた。

 ラクドサスは豪華な椅子に座り、キキョウと話をしている。


「ダスカが抜けたらしいな」

「そうみたいね。ダスカとつるんでた数名も抜けたみたいよ」

「ああ……ダスカは、構わない。だが、有能なヤツまでつれていくとは……」


 そう言いラクドサスは、キッと無作為に睨んだ。


「そういえば、ダスカはどこに引き抜かれたか分かったのか?」

「ええ、それなんだけど……バッドスコーピオンの者たちと歩いてるのをみかけたわ」

「……そういう事か。二週間前にエルが狙われた理由……。ダスカがセルギガに教えたようだな」


 それを聞きキキョウは頷いた。


「なあキキョウ……セルギガは諦めると思うか?」

「そうねぇ……恐らく諦めないでしょうね」

「確かにな。そういえばエル達が迷宮に向かうのって、今日だったか?」


 そう問われキキョウは、どうだっただろうと考える。


「……多分そうかも」

「もしかしたら……迷宮で……」


 そう言いかけラクドサスは、慌てて立ち上がった。


「キキョウ……俺たちも行くぞ」


 ラクドサスはそう言うと走り出しアジトをでる。そのあとをキキョウが追う。

 そしてラクドサスとキキョウは、ダグル迷宮へと急ぎ向かったのだった。

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