兄弟の契り

 ここは医療施設。

 シルフィアとキキョウは、ベッドに寝ている。

 そうエルとラクドサスが、喧嘩をとめたあと二人をここに運んだのだ。


 そして現在エルとラクドサスは、シルフィアとキキョウの近くにある椅子に座り話をしていた。


「二人共、落ち着いてるみたいでぐっすり眠ってるな」

「エル、そのようだな。そういえば……さっき、聞いた」

「ああ、俺も聞いてる。とりあえずお互い情報を提供しないとな」


 それを聞きラクドサスは、コクリと頷く。


「だが、どうやってお前に情報を送ればいい?」

「それは、コッチでやるって言ってた」

「……そんなことができるのか?」


 そう言いラクドサスは、不思議に思い首を傾げる。

 そう二人が会話をしていると……。


 ”勿論できるよ。だが、滅多にこれはやらないようにしている”

(もしかしてエルのオーパーツなのか?)

 ”ああ、そうなるね。それと、エルの方とも意識を繋いでおいた”


 それを聞きラクドサスはエルへ視線を向けた。


(繋がってる。じゃあ、まずはお互いのオーパーツについてだな)

(ああ……なんか変な気分だ……まあ仕方ないか)


 そう言いラクドサスは溜息をつく。

 その後エルとラクドサスは、お互いのオーパーツのことや自分のことを話した。


(……まさか、名前だけは聞いたことがある。星の理を知る魔導書グリモエステルス……別名、人食い魔導書)


 ラクドサスの顔は青ざめている。


(そういう事だ。それでラクドサスのオーパーツは、セイントチェーンか。俺はオーパーツに詳しくない。でも、さっきグリモエステルスに少し聞いた)

(そうか……それなら、そんなに話さなくても大丈夫だな。セイントチェーンは神のオーパーツの中では、上位の方だ)


 そうこう二人は話を進めていった。

 その後、エルとラクドサスはお互いのことを全て話し終える。

 それを確認したグリモエステルスとセイントチェーンは、エルとラクドサスの周囲に結界を張った。そして、お互いの契約を交わす。

 それに合わせエルはセイントチェーンに、ラクドサスがグリモエステルスの上に左手を添える。

 すると二人の全身とお互いのオーパーツが激しく発光する。


( (我、兄弟の契りを交わす 如何なる時も お互い争うことなく 助け合うことを誓う!!) )


 そうエルとラクドサスは言い、自分の親指をナイフで斬った。その後、お互いのオーパーツに血を垂らす。

 するとグリモエステルスとセイントチェーンは、激しく発光し魔法陣が浮かび上がる。

 その後、グリモエステルスから赤い液体の入ったグラスが浮かび上がってきた。

 片やセイントチェーンからは、赤い液体の入った金色の盃が浮上してくる。

 エルとラクドサスは、それを持ち飲んだ。

 それと同時に二人の体は、ピカッと発光した。

 するとエルの左腕のグリモエステルスの紋章の下には、セイントチェーンの紋章が現れる。その紋章には、太陽に鎖が描かれていた。

 ラクドサスの胸の下にあるセイントチェーンの紋章の横には、グリモエステルスの紋章が浮かび上がる。

 その後、二人から光は消えた。


(終わったな。これで必要な時に連絡できる)


 そう言いエルはラクドサスを見据える。


(ああ、そうだな)


 そう言いラクドサスは微笑んだ。

 そしてその後エルとラクドサスは、しばらくここで話をしたあと自分たちの家へ戻っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る