テリトリーと電撃をくらう

 エルとラクドサスは睨み合っていた。


 ”ラクドサス……私以外のことを話すのじゃ”

(どういう事ですか?)

 ”不覚にもエルのオーパーツに私の存在を知られてしまい……根掘り葉掘り聞かれてのう”


 それを聞きラクドサスは、どういう事だと思い首を傾げる。


(なぜセイントチェーンが。まさか、エルのオーパーツの方が格上なのか)

 ”うむ、格上じゃが……悪魔のオーパーツじゃ”

(なるほど……それでエルのオーパーツとは、なんなのですか?)


 そう言いラクドサスは、エルを見据えた。


 ”それは言えぬ。その代わり向こうも私のことは、エルに言わぬそうじゃ”

(本当でしょうか? 悪魔のオーパーツのいう事を信じても……)

 ”嘘が嫌いなオーパーツ故に嘘はないと思うがのう”


 それを聞きラクドサスは、更に訳が分からなくなる。


(嘘が嫌いな悪魔のオーパーツって……あり得るのか?)

 ”あるのじゃ……嘘が嫌いなオーパーツ故に、今まで人を嫌っておったがな”

(それをエルが手に入れた。という事は、初めての所持者)


 ラクドサスは驚きエルを凝視した。


 ”そうなるのう……”

(だが……どうして俺の素性を全て話す必要があるのですか? それにここには結界と共にテリトリーの能力を……)

 ”それは既に無効になっておる。いや、ここに来た時からエルのオーパーツのテリトリーに入っておったのじゃよ”


 そう言われラクドサスは、辺りの気配を探る。


(クッ……やられた! エルは既にここに……)

 ”そのようじゃ。流石は、あのオーパーツを所持することができし者よ”

(では話さねば、どうなるか分からないという訳か)


 ラクドサスは悔しそうな顔でエルをみた。


 ”じゃが……エルにも、事情を話させるとのことじゃ”

(……それが本当かは分からないが、話さないとまずいだろうな)


 そう言いラクドサスは、天井を見上げる。


 ∞✦∞✦∞✦∞


 その頃、エルもグリモエステルスと話をしていた。


 そして時は少し遡る……――


 エルとシルフィアはグリモエステルスの話を聞いていた。


(話はついたのか?)

 ”ああ、なんとか説得しておいたよ。だが、条件をつけて来たけどな”

(条件? いったいなんだろう……)


 そう言いエルは思考を巡らせる。


 ”エル、全て話すってことだよ”

(ふ~ん……じゃあ、グリモエステルスのことも話していいんだな)


 それを聞きグリモエステルスは、エルに目掛け雷撃を浴びせた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ……」


 そう叫びエルは、バタッと床に倒れる。因みに炭を全身に被ったようになっていた。……まあ自業自得なのだが。

 それをみたラクドサスは、何をやっているんだと思い首を傾げた。

 片やキキョウは「あらあら」と言い心配そうにエルをみつめる。

 シルフィアは事情を知ってたため、ジト目でエルをみていた。

 その後シルフィアは、呆れながらもエルの回復をする。


「ごめん……シルフィア」

「もう、自業自得だからね」


 そう言われエルは苦笑した。


「何があった?」

「ラクドサス……いや、それが……」


 エルはラクドサスから目を逸らす。


「云わないでもいいことを言ったからよ」

「なるほどな……思ったよりも馬鹿なのか?」


 そうラクドサスは言いエルを見下すような目でみる。


「クッ、お前に言われたくない!」

「まあいい……それで、そっちの会話は済んだのか?」

「ああ……そっちもいいのか?」


 そうエルが聞くとラクドサスは頷いた。


「じゃあ、話さねばな……」


 そう言いラクドサスは、遠くをみつめる。

 そしてその後、ラクドサスは重い口を開き話し出したのだった。

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