挑発と承諾

 エルはギルドの出入口付近に居るラクドサスのそばまできた。


「ほう……お前がエルか。思ったよりも、弱そうだな」

「なんなんですか? いきなり人を呼びつけて、その言いようは……普通じゃあり得ない」


 そう言いエルは、ラクドサスを睨んだ。


「……度胸はありそうだな。それに口も達者なようだ……面白い。だが……本当に、ブルーストーンに相応しいか疑問なんだが」

「さっきから何が言いたいんですか? ただ俺を馬鹿にしたいだけなら、今は忙しいのであとにしてもらいたいんですけど」


 それを聞きラクドサスは、顔を引きつらせる。


「面白れぇ……俺にそんな態度をとったのは、お前が初めてだ。だが……そうだな。やっぱり、お前の実力が知りたい。どうだ? 俺と一対一タイマンで勝負しないか」

「なんで……いきなり来たお前と、戦わなきゃいけない?」


 流石のエルも、ラクドサスへの対応が雑になってきた。


「フッ、意味はある。お前は、ウチのメンバーを引き抜いたんだからな」

「それって……まさか、シルフィアとログスとララファのことか?」

「ああ、そうだ。まぁ……ログスとララファは構わないがな。だが、シルフィアは……俺のパーティーに必要な実力者」


 それを聞きエルは振り返って、シルフィアとログスとララファをみる。

 すると三人は、ビクビクし顔が青ざめていた。

 それをみたエルは、なんとなく理解しラクドサスの方を向いて睨んだ。


「そういう事か。シルフィアまで、ビクついてるってことは……デスナイトメアキメラのリーダー」

「ああ、そういう事だ」

「なるほど……だけど、俺は無理に引き抜いた訳じゃない」


 そう言われラクドサスは、シルフィアの方をみる。


「無理矢理じゃない……だとしても、結果的にお前の所にシルフィアが入った。それが納得いかない……まぁ、俺よりも強いなら別だがな」

「それで……タイマンってことか。その様子じゃ、引いてくれそうもないな」

「ああ、当然だ。そうだな……ここで暴れる訳にはいかない。広場で、どうだ?」


 ラクドサスはそう言いエルを見据えた。


「そうだな……そうするしかないようだし、俺はそれでいい」


 余り乗り気じゃないがエルは、渋々そう応える。


「意外な返答だな。逃げると思ったが……まあいい、こい!」


 そう言いラクドサスは、外へと向かった。

 そのあとをエルは追う。

 それをみていたシルフィアとログスとララファは、エルとラクドサスを追いかける。

 ギルド内にいる者たちは、これは面白いことになったと思いエル達を追って広場へ向かった。但し全員ではなく、興味がない者はギルドに残っている。

 そしてその様子をみていたカルシャは、この町のギルドマスターへと連絡するため奥の部屋に向かった。

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