ダグル迷宮地下二階層……二体のオーパーツ②

 グリモエステルスは、バスターへルギアの周囲をプカプカ浮いている。


「儂は、エルに興味がある。いや、どこまで成長するのかみたいんだ」

「はて? 大丈夫か……何か悪い魂でも喰らったんじゃないだろうな」

「バスターへルギア、君は消滅したいようだね」


 そう言いグリモエステルスは、バスターへルギアに目掛け電撃を放った。

 それに気づきバスターへルギアは、サッと避ける。しかし、どこからともなく木槌が現れバスターへルギアに当たった。


「グハッ!? ……イテェ!! クソッオォォォ……なんで攻撃してくるんだ? それとも図星だったのか」

「いい加減にしないと、本当に消滅させるよ」

「……ふぅ~、そうだな。んー……お前とやり合っても、オレに分が悪い。悪かったな……でも、まさかお前がなぁ」


 そう言われグリモエステルスは頷く。


「まぁそういう事だね。それで、さっきの質問だけど」

「……エルに教えるつもりか?」

「いや、それはないよ。流石に、儂はそこまでお人好しじゃないからね」


 それを聞きバスターへルギアは、分かったと言い現在の所有者を教える。


「なるほど……そうなると、やはりエルの村を襲ったのは……君を手に入れるため」

「そうなるな……まぁ、アイツも眷属だ。正当な権利はある……」

「そうかもしれないが……儂は、嫌いだね。恐らく同じことされたら、そいつの魂を喰らう」


 そう言うとグリモエステルスは漆黒のオーラを放った。

 それをみたバスターへルギアは、ゾクッとし身を震わせる。


「……まぁお前なら、やりかねんな。それに、その様子じゃ……エルがオレの所有者に辿り着いたら」

「勿論、我慢させないつもりだ。恐らくエルは、理性を保とうとする。それは、エルにとって命取りになりかねない」

「そうだな……。そうなると、その時は敵同士になるのか。あ~めんどくせえぇー……オレの能力じゃお前に勝てる訳ねぇだろうが」


 そう叫びバスターへルギアは、球体に三本線が現れたと共に一滴の汗が流れ落ちる。


「儂と君ならそうだろうね。でも所持者同士だと、どうなるか分からないよ」

「ああ、そうだな。オーパーツをどれだけ使いこなせるか、で勝敗が決まる」

「そういう事だ。だから、エルには厳しくしているんだ。勿体ないからね、彼の知能は……。それに、もっと知りたい。儂の知らないことを……」


 グリモエステルスはそう言い、なぜかルンルンしていた。


「お前に知らないことなんてないよな?」

「いや、あるよ。ううん、エルが気づかせてくれたって言った方がいいか。知能を持つ者は、成長する。それだけじゃない、未知の回答を導き出すんだ」


 そう言いグリモエステルスは一呼吸おき再び話し始める。


「儂が思いつかないことをね。凄いと思わないか、だからもっと知りたいんだ」

「相変わらず、変わりもんだなぁ。そうか……それを聞いたら、オレもエルがどんなヤツか知りたくなった」

「お前には、やらんぞ! 儂の所有者なんだからな」


 それを聞きバスターへルギアは、一滴の汗を流した。

 その後グリモエステルスとバスターへルギアは話に花を咲かせる。

 そして話し終えると、お互い自分の場所へと戻りこの空間が消滅した。

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