#13 冒険者登録と訓練

 次の日、俺たちはアルベルトさんとの約束の為にダダリオ商会に向かった。


 家の設計について職人さんも交えて相談していたらその日は終わってしまった。


 すぐにとりかかるらしく、進捗を確認するためにその都度連絡してくれるように約束した。






 その次の日、俺たちは冒険者ギルドに向かった。


 俺の戦闘訓練の為だ。


「新しく冒険者になりたいんですが?」


 受付のお姉さんに話しかける。


「わかりました、ではこちらをご記入下さい」


 記入用紙には名前、役割、得意不得意などの項目があった。


 書いてお姉さんに渡す。


「そちらの方も同行されますか?」


「はい」


「それなら、そちらの方の情報も一緒にご記入下さい」


 そう言ってさっき書いた記入用紙を返され、「従魔・従者」の項目を指さされた。


 書き直して提出する。


「はい、大丈夫そうですね。

 これが冒険者タグです」


 俺は銅色の金属タグを受け取った。


 そこには俺とレイラの名前と名前の横にランクの数字が刻まれていた。


「彼女のタグはないの?」


「彼女は奴隷のようですのでありません」


 振り返ってレイラを見る。


 彼女はコクンと頷く。


 そうなのか。


「手続きは終わったので、次に冒険者ギルドについて説明します」


 そう言ってお姉さんは説明してくれた。


 仕事はボードに張ってあるのを選ぶか、受付で相談する。


 基本自分のランク以下の仕事しか受けられない。

 

 他に違約金やら更新料やら禁止事項などについて説明を受けた。


「以上です。

 何か質問はありますか?」


「彼女は元々冒険者で経験はありますが、私は完全な初心者なので私の剣の訓練に向いた仕事はありますか?」


「一角ウサギの狩猟はどうでしょう?

 初心者向けだと思います。

 こちらは常駐の仕事ですので、受注する必要がなく期限もありません。

 一角ウサギを納品すれば仕事完了です」


 レイラにそれでいいか確認する。


「わかりました。

 ありがとうございます」


 早速、狩り場に向かおう。


「チッ、奴隷使いが」


 すれ違いざまにそう言われた。


 振り返ると男が俺を睨みつけて、ギルドに入っていった。


 意味が分からなかった。


「レイラ、奴隷使いってどういう意味?」


「奴隷を連れている冒険者のことです、ご主人様。

 残念ながら冒険者の中には奴隷の扱いが酷い人も居るのでその主人を嫌う人は少なくありません」


 嫌いなら関わって来ないでほしい。







 街の外に出て、狩場の森の手前で剣の基本をレイラに教わる。


 型や受け身、足さばきなどだ。


「あとは、それが身体に馴染むように繰り返していくしかありません。

 経験を積むのが大事です。

 剣術だけ習ったところで強くなるわけではありません」


 レイラが教官に見えた。


 その後、森に入ったが俺は一角ウサギを一匹も狩ることが出来なかった。


 レイラは10匹狩っていた。


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