永遠の友情ー羽衣の過去ー
零斗ウルフ
零話ーこの厄災!ー
目を開くと真っ白な天井…。
目線を動かすとタイミングよく風が吹き込みカーテンがなびく。
「青い空。」
なんで僕は病室のベットに横たわっているのだろうか…。
あれ?頭が痛い…。
思い出せない…僕、何していたんだろう。
何だったんだろ、僕は何してたんだっけ…。
思い出せない。
その瞬間、強く痛みが走った。
「痛…!?」
なんだか、思い出さない方がいい気がする。
何故、そう思うんだろう...。
視界がボヤけて定まらない。
頭も痛いし身体中が痛い。
何か重要な事を忘れているような…。
なんで、こんな時に思い出せない!
考えようとしても何かが邪魔をして思い出せない。
クソ…ダメだ、思い出せない。
その時、ドアを開け入ってきた看護師さんが
「目覚めましたか!▲■さん!」
病室に入ってきた看護師が叫び言ってきた。
僕は何がどうなっているのか理解が出来なかった。
そうすると医者が声を聞きつけて駆けつけてきた。
「▲■さん!目が覚めたんですね!良かったです。」
まるで僕が長く目が覚めなかったような口ぶりだった。
そう言われて聞かされたのが僕が1か月ほど目が覚めなかったそうで医者の治療の、おかげもあり、後は目覚めるか不明だったそうだ。
医者からは、すぐ退院できるからと家に電話をしてくれて身内の人が迎えに来てくれると言われた。
医者は目覚めて、まだ混乱してるかもだからと看護師さんに頼んで食事などを持ってきてくれた。
身内が迎えに来るまでは、ゆっくりしてなさいと言われ病室から去っていった。
用意してくれた温かい食事に、ゆっくりと口に運び、よく噛んで食べた。
凄く胃にも優しくて美味しかった。
久しぶりの感覚があって不思議にも感じた。
でも、なんだか何かを忘れてる気がしてならなかった。
そこだけがモヤモヤさせていた。
トントンとノックして看護師さんが入ってきた。
「ご飯食べれたのね!良かった!」
「はい、美味しかったです。ありがとうございます。」
看護師さんは嬉しそうにニコニコしていた。
昏睡状態の僕を1か月も世話してくれたそうだ。
毎日、祈るように願っていたそうだ。
「お迎え来るまでに身だしなみを整えるのをしてあげる。まだ、体痛むでしょう?」
自分でも出来ると言いたかったが確かに体中痛くて上手く着替えも出来ないと思った。
「すみませんが、お願い致します。」
看護師さんは「はい!」と嬉しそうだった。
髪をといてもらいながら看護師さんは言った。
「▲■さんは、髪色綺麗ですよね!」
「そ、そうですか?」
「はい!▲■さんの髪色は綺麗なオレンジのような茶色で珍しいなと思いまして!」
まさか髪色で褒められるとは思わなかったし褒められる事には慣れていない。
「遺伝ですか?お顔も綺麗ですし目の色も!お父さんかお母さん譲りですか?」
そう聞かれたが自分は両親とも髪色、目の色も遺伝はしてない。
顔立ちは母親譲りで髪と目は、何故か身内ですらも同じ人がいない。
「いや…両親とは髪と目は遺伝してないです。顔は母に似ている。」
「そうだったんですか!じゃあ、お母さんも同じくらいに美人さんなんでしょうね」
「そうですね…。」
ちょっと自分は俯いてしまった。
看護師さんは、それを感じたのか
「ごめんなさいね…髪色と目の色や両親の事で不快に感じさせてしまったかな…。」
そう感じた看護師さんが謝ってきた。
「いえ、大丈夫です。昔から色々ありまして。」
看護師さんも申し訳なくなってしまい、何かを感じたのか優しく抱きしめてきた。
僕はびっくりした。
「抱きしめたのはね、なんだか、自分の事を責めているように感じたから」
優しく撫でられた手が、とても暖かくて心地が良かった。
僕も落ち着き看護師さんが僕の髪が長いから髪を普段から結んでる?と聞かれた。
僕はツインテールにしてますと答えた。
癖っ毛もあるので軽くツインテールにしていた為、看護師さんに結んでもらった。
自分に荷物もなかった為、迎えが来るのに時間ができた。
看護師さんは仕事が他の事が出来た為、病室を出て行った。
静まり返る病室僕はボーと窓から外見た。
なんだか静かの方が違和感が出てくる。
ため息をつかんばかりな感じに退屈した。
窓の外を何十分も、ボーとしていると1台の車が止まり、1人の女性が躊躇なく車から出てきて病院へと入っていった。
僕は遠くて分からなかったが、なんだか怒っているかのように感じた。
靴の音が強く鳴り響いて僕の病室に近づいてくるのを感じた。
僕は一体、何なのか分からなかったが嫌な予感がした。
「あの子の病室はどこ!?」
病院中、響き渡るほどの大声を荒げていた。
看護師さんは静かになるように女の人をなだめるように声をかけていたのを無視して
「どこなの!!早く答えなさい!!?」
看護師さんは流石に怯んだのか誰かの病室へと案内しようと歩き始めた音が鳴り響く。
僕は聞き覚えのある声のようにも感じた。
そして、強くドアが開いた。
僕はビクッとして、びっくりし背筋が凍りつく感覚があった。
看護師さんは女性を止めるようにしていたが強く振り払われてしまい、女性が突然入ってきては僕の頬を強く叩いた。
僕は頭の中が真っ白になり、何が起きたのか分からなかった。
僕はゆっくり顔を上げた…
その女性はに憎しみのような顔をしていた。
その女性は僕に、こう言った。
「この厄災者が!!!」
その瞬間、電撃のような感覚が体中に響き自分は震えながら下を向いて溢れる汗と共にすべて忘れていた事を。
全部。
…全部。
「僕が…」
詰まる声で声が出ないのと過呼吸のように息が出来なかった。
「あの…華菜と颯斗は…。」
ガクガクと震えながら僕は問うた。
頭の中がパニックでぐちゃぐちゃになり始めた。
上手く呼吸できなくて苦しい。
看護師さんが落ち込んだ表情でも聞きたい口でと思い、聞こうとしたら女性は遮って、僕の胸ぐらを掴んできて
「アンタが殺したんだよ!!!」
「…。」
僕は真っ白になった。
受け入れられない気持ちと呆然とした。
「私の娘と息子を返してよ!!!」
僕は溢れきれない精神が壊れそうに感じた。
「なんで、あんたが生き残って私の子供は死んでるわけ!?」
「▲■さん、落ち着いてください!本人も困惑してますので!」
看護師さんが必死に止めるが女性は動じない。
そうだ、この人は華菜と颯斗と母親で僕の事を嫌っていて華菜と颯斗に近寄るなと注意してた人だ。
この人は、あまり会った事はない。
ほぼほぼ出張でいなくて家に帰ってきても僕には会う事もなかったが、ちゃんと顔見たのは初めてで気付かなった…。
「あの事件に関しましては▲■羽衣さんは悪くないですし、何者かの仕業と出ています!」
「そんなの関係ないわ!一族の厄災の癖に何、1人生き残っているのよ!?」
「どうせ、あんたが1級呪霊を開放したんでしょ!」
強く胸ぐらを掴まれながら怒りが満ちていた。
「ぼ、僕のせいで…ごめんなさい。」
力の入らない体に震えがでてきて謝った。
「そんな謝りで許されると思ったの!」
僕は顔を見れなくなった。
看護師さん、医者も必死に落ち着くように騒いでいた。
「あんたなんか今すぐにでも死んで!!」
その瞬間、女性は術で僕を殺そうとしてきた。
「何か言う事は?」
僕は
「生きててごめんさい…。」
そう涙が出た。
「そうよ、あんたなんか居なければ今頃、息子や娘も生きてたわ!」
そして、術で殺そうとした時
「やめぬか。」
病室に入ってきたのは一族の大黒柱であるお爺様だった。
「叔父上!」
すぐに女性は手を放し急に礼儀正しくなった。
「病院で騒ぐでない、香代子。」
「申し訳ございません。」
お爺様の前だと大人しくなるタイプなんだと思った。
お爺様は僕の方に向き、鋭い目つきで見てきた。
「無事で何よりだ、羽衣。」
「はい。ご心配おかけして申し訳ございません。」
お爺様は大丈夫だと言った。
お爺様も起きた事ので、やる事が山積みにも関わらず目を覚ました僕の為に来てくれたそうだ。
僕は覚えてないから後で何かしら調査しようと思った。
華菜と颯斗の母親である佳代子は僕を、ずっと睨んでいた。
「さぁ、帰ろうか。」
看護師さんが慌てて僕の手を取って車まで一緒に歩いてくれた。
佳代子さんは僕を通り越し、お爺様の手を取っていた。
無事に車に乗り、佳代子さんは車に乗らなかった。
「叔父上、私は任務がある為、家を不在に致します。」
お爺様は分かったと頷いた。
先に佳代子さんは別の車で任務へと向かった。
お爺様が運転手に車を出すように言おうとした時
「ちょっと待ってください!!!」
僕は車の窓を開けた。
「羽衣ちゃん、はい。」
看護師さんが何かを渡してきた。
「中を見て。」
白い布を開くとネックレスの物だった。
三角の形していて金属のような術で強く籠ってたような形跡があった。
「これって?」
「そっか、羽衣ちゃんは覚えてないのね。羽衣ちゃんが運びこまれた時に羽衣ちゃんが強く握ってたんだよ。」
僕が、こんなの持ってたかな?となった。
「大切に持っていて、それほど何か大事なのだと思って綺麗にしといたよ。」
「でも、チェーンの部分が切れてて別のになっちゃったけど切れたチェーンも入れといたら!」
そこまでしてもらって僕は
「ありがとうございます。僕のお世話もしてくださりありがとうございました。」
看護師さんは大丈夫よ、とニコニコの笑顔だった。
「お爺様、もう行けます。」
そう伝え、車は走り出した。
手には残ったネックレスを握り胸に当て外を見た。
お爺様は静かに険しい表情をした。
そして、見送りをした看護師さんと医者は
「行っちゃいましたね。」
「そうだな。」
看護師さんは寂しい気持ちと心配の気持ちもあった。
「羽衣ちゃん、大丈夫かな」
「あの一族は▲■羽衣さんを厄災だの一族から軽蔑されている。」
「え?なんでですか?」
医者は黙り込んで振り返って言った。
「あの▲■羽衣さんは一族の中で等級も高く15歳で持つ力ではない、それに両親は幼い頃に他界をしており、彼女は覚えていないが当時4歳の頃に▲■羽衣さんの術式で亡くなっている。」
「え?なぜです?幼い子供が術式なんかを」
「▲■羽衣さんは珍しい体質であり高い力を幼い頃から持ち合わせていて他の一族から物にしようと悪の呪詛師一族や術師一族でも欲しいほどの逸材。」
医者はたんたんと話を進めた。
「そして、ついに悪の呪詛師が計画を練り敷地内に侵入したんだ。結界が破れたのが即バレて真夜中で何も見えない時間、等級高い人ら、相手にしたら厄介な人がいない時を狙った襲撃だった。」
看護師は何かに気付いた。
「それって、噂でしか聞いた事ないけど、呪詛師、▲■襲撃事件のですか!」
正解と医者は答えた。
「あれは本当だったんですか!?」
看護師は驚いた。
その事件は密かな噂でしかなかった事もあり、驚いた。
「あの事件は公にはしなかった事件だから分からないのも当然。」
看護師は口が開いたのが閉じれなかった。
「でも、その襲撃は▲■羽衣さんを誘拐する為で、ご両親は術で警戒をした。だが、相手の呪詛師の方が上手だった事もあり、ご両親は負傷した。守るために参戦した仲間も大怪我を負う事に…。」
看護師さんは羽衣ちゃんは、どこにいたんですか?と聞いた。
医者は静かに答えた。
「▲■羽衣さんは音が鳴り響く方に行ってしまい…。」
『ママ?パパ?』
その声に皆が羽衣を見た。
『羽衣!出てきゃダメ!!』
『?』
呪詛師は狙いの小娘を見て即捕まえようとした。
『ッ!?』
呪詛師に動けないように母親が術で止めた。
『私の娘のとこには行かせない!?』
『クソが!』
そうすると私の後ろスッと術で現れた父親が私を抱えて走った。
父親は傷だらけで幼い私でも理解できた、危ない事が起きていると悟った。
『パパ、血が…。』
父親は笑って
『パパは大丈夫だ!パパは強いぞ!ママも大丈夫だから安心していいから。』
明らかに大丈夫ではない状態だった。
私は不安が募り始めていた。
『ここにいれば安全だ。羽衣大丈夫だから。』
不安になっている私を父親は頭を優しく撫でてくれた。
『オイ。そこに居る事は知ってるぞ。』
その声に父親は何故バレたと思った。
『呪詛師が大勢いるんだから陰で見張ってた奴から教えてもらったんだ。早く出てこい。』
父親だけ姿を見せた。
『ガキもいるだろ。ガキを渡せ。』
父親は険しい顔で方法がなかったが意地でも娘は渡さないと言った。
『お前の奥さんが死んでもいいのか?』
瀕死の状態の母親を見て父親は決断が出来ない状態だった。
そんな話が聞こえている私は何が分からなくて、ゆっくりと見た。
『さぁ、どうする?ガキと交換だ。』
『ダ…メ。』
『あ?』
母親は必死に答えた。
『娘は…絶対に渡さない!』
私は母親の姿を見て一気に何かが溢れた。
『お、ガキから出てきてくれたじゃねぇか。』
父親は咄嗟に
『出てきたらダメじゃないか!』
だが、すぐに父親は黙った。
自分の娘が4歳とは思えない物凄い殺気を放ち霊力を異常なレベルに放っていた。
呪詛師は顔しかめて言った。
『ガキの癖に、やっぱ異常だな。だが、眠らせればこっちのもんだ』
『羽衣…。』
母親は娘を止めようと名前を呼ぶが娘には届かない程の殺気と自我が失っていた。
母親の苦しむ姿に羽衣は更に暴走を始めた。
『おじさんがママや皆を怪我させたの?』
呪詛師は『あ?』と言わんばかりの顔をしてしゃがみこんだ。
『そんなに殺気を放って力も沢山出してる方が、良くないんだぞ?ガキ?』
そう言い眠らせようと術を使おうとした瞬間。
『じゃあ、おじさんいなくなって。』
『は?』
その瞬間、何が起きたのか理解が出来なかった。
自動的に術式が展開され呪詛師が飛ばされ死んでしまった。
父親と母親、皆が何が起きたのか理解ができなかった。
『この人達も悪い大人?』
父親は完全に自分の自我すら消えて暴走している娘を止めようとした。
『羽衣!もういい!ここからは皆でやるから羽衣はママといなさい!』
父親の声すらも届かないほどに羽衣は殺意で満たされていた。
『悪い大人は皆、消えちゃえ。』
その瞬間、暴走が爆発してしまい屋敷の半分が消え、周りが見渡せるほどの大規模に及んで羽衣は極大術式を行ってしまった。
暴走が爆発した、おかげもあり羽衣は意識を失った。
「あの時、運び込まれた一族の人達や呪詛師の一族が一気に病院に運ばれた。」
「だから、先生は詳しいんですね。」
あの時の患者の数も凄かったが1人の幼い4歳の子供が負傷者を大勢出し、運び込まれた患者の半分くらいは死亡し現地でも死亡者が多かった。
「▲■羽衣さんは、もっとも厄介とされた呪詛師一族を、ほぼほぼ壊滅させました。」
「その一晩で?」
医者は頷いた。
「この事件が公ならずに済んだのは▲■家の力とも言える。」
「そんなに凄い一族なんですね。」
「本当に凄いよ。▲■家は国家機密で裏で任務を任されてる歴史がある一族で、この病院とも長い付き合いで▲■家とは繋がりもあり、術師で治療を専門としている人物もいるし」
看護師さんは口を開いて「知らないんですが!?」と言わんばかりの顔をした。
「あまり会える確率低いし裏でしてもらってる事だから。」
「まるで、それの仕事していたような言い方ですね?」
医者は「あぁ~」とはなって悩んだが
「俺も等級弱いが術師だからな。でも、昔に事故で辞める事なったからな。」
「そうだったんですか!?」
「そんな驚くか?」
「驚きますよ!」
だから、先生は術師など、色々知っていたのかと納得した。
「気付いたら▲■羽衣さんも15歳なったんだな…。」
心配げな表情をする医者に看護師さんは
「思春期の年頃ですから、更に精神的にも辛いでしょうね。」
「あの時は4歳だったから記憶なくて済んだが15歳で大切な存在を、また失うとはな…あの子には本当に幸せになってほしい。」
「そうですね。」
ー ー
ー登場人物ー
・羽依(うい)
・佳代子(かよこ)
・お爺様
・医者
・看護師
【更新は不定期です】
永遠の友情ー羽衣の過去ー 零斗ウルフ @reitouruhu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。永遠の友情ー羽衣の過去ーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます