第15話 銀鱗独房


 目が覚めると僕は独房にいた。


 半袖のTシャツと紐のないパンツを着ていただけだっただからちょっと寒い。


 目が覚めたらTシャツが胸元までめくれていたから一瞬ぎょっとなった。


 半分裸になっていたから、小夜子の名誉を考えるとこんなことなんて、と思う。


 慌てて服を正すとここが病院なのだとようやくわかった。


 独房は広さが小さな教室ほどあった。


 隅にはむき出しのトイレがある。


 畳さえも引いていない、床は薄い毛布とシーツしかない。


 


 どうやら、ここで一晩過ごしたようだ。


 それまでの記憶がない。


 天井には監視カメラはついていた。


 これじゃあ、刑務所よりもたちが悪い。


 僕は幾分不快になって檻が開けられないか、試しに叩いてみた。


 当たり前だが開くわけがない。


 僕はしまいには諦めてぼんやりと壁にもたれかかった。


 小夜子の境遇を思うと哀れで仕方がない。


 


 こんな陸の孤島のような隔絶された空間で一生過ごすのか。


 僕と小夜子は何もしていないのに。


 あっ、あの男どもの殺害計画は立てたか。


 ふん、殺した記憶は全くない。


 


 罪を犯していない潔白な人間をこんな独房に閉じこめるなんて、あのやぶ医者の魂胆か。


 悔しくて怒りを抑えるのに足をバタバタさせていると、人影が見えた。


 正体は磯崎というあのやぶ医者だった。


 やぶ医者は檻で仕切られている僕の前で淡々としていた。


「今は真一君が小夜子さんをコントロールしているね。真一君、話があるんだ。ここでしばらく話してもいいかな?」


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