第29話 死神親子の確執

突然足首を掴まれた! 下方へ目線をやると子供の様な小さな両手が甲の両足首を

掴んで離さなかった!ギリギリと締め付ける!泥にまみれた幼い手は力強く泥濘の直下へ沈み込ませようというのか! 甲の内果や外果がもう! 泥の中まで埋まってしまった!

 刹那、「リンバ! もうエエワイな!離してやれ。」しわがれた声はその手を窘めるように 幼い手に言っていた。

「ウワッ! 止めてくれ!」甲が後ずさりしようとしたが足首を固定されているせいで、尻餅を付いた! ジャバン! 水の音がした!幽かに臀部が冷たい! 辺りはもう貯水池の水面で、先ほどまで甲が立っていた池畔は、遥か彼方!甲は貯水池のど真ん中まで引き摺られていた!

「コラ、リンバ! オマエの我侭はもう許さん! 消えてオシマイ!」

 怒号がして水面が津波の様にささくれ立ち、ゴゴゴー!と、約5mの高さまで迫上がり甲を襲う!

「ウワッ!」甲は波に飲まれ息が出来ない!リンバは毛先にウェーブが掛かった金髪をしている。

「ママ、アタシの事を認めてヨッ!」 人間に恋したの!

「甲と一緒に暮したいの!」切々と訴える声がしていた!

「為らんワ!」即答だった! 

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