第43話 土魔法の本領


 淳が消えたあと、突如として大砲を打ち込むような轟音が響き渡ることで、アスカとディヤリは目を見合わせた。


「戦ってるってことはやっぱり深層からやばい魔物がここまで来たってこと?」


「流石にそれはねえだろ。モンスターは基本的に層が跨ぐことはないし、たとえ跨いだとしてもこんな初層のこんな魔力の薄いところじゃ、ド派手な攻撃はできねえよ」


 ディヤリはアスカの懸念に対して、アメリカで行われたモンスターの階層移動実験を思い出しながら、答える。

 日本の原宿ファションに傾倒しているため、軽薄な見た目をしているが、彼はダンジョン攻略者として活動する傍ら、飛び級で大学に入学し、四年で日本語を完全にマスターするほどの秀才だった。

 だからこそ今起こっていることがどのダンジョン攻略の事例にも当てはまらない出来事であり、困惑している。


「ここでじっくり考えても埒が明かないし、見に行こうよ」


「ああ、確かにそうだな」


 ディヤリはアスカに促されると、音源の元に向かうことに決めた。

 戦闘になっていた場合、淳の邪魔になる可能性もあるかも知れないという懸念もあったが、ことの真相を知りたいという知識欲の方が強かったし、それに何より彼は淳が実際に戦闘している場面が見たいという思いがあった。


 思いたちすぐに走って向かったあと、凄まじい轟音が絶え間なく聞こえる地点に来て、2人は絶句した。


「この壁もしかして全部魔力で構成されてるの?」


 眼前に見える土魔法で構成された蠢く壁。

 自分たちが魔法の展開をしたら1秒に見たないうちに魔力が尽きるだろうやり方で土魔法が展開されてるのが見えてしまった。

 淳が自分たちの手に負えない人外と戦っていることが嫌が応にも2人にはわかってしまった。



 ーーー


 360°攻撃の雨が降り注ぐ。

 轟音が響くかと思うと、四方八方から岩の砲弾が飛んでくる。

 今までについを見ないほどの猛攻だ。

 全方位を要塞に囲まれて、一斉掃射をされているような気分になってくる。


 せめて魔力で場所が特定できればよかったのだが、あいにく土魔法の中に隠れているため、土魔法の魔力に遮られて、相間さんの魔力が見えないので、難しい。

 というよりも物量のおかしい攻撃を捌いているこの状況では無理だ。

 魔力切れで、生き埋めを避けるために地中から出てくるのを待つのが現実的だろう。


 

ーーー


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