時は唐の玄宗皇帝の治世。歴史の授業でも聞いたことのある人物がこんな人生のひとときを送っていたのかもと思わせられました。この物語の主人公達は、ただの歴史書の中の人物ではなく、色々悩み、葛藤する等身大の人物です。それに後世の私達は、この太平の世がそんなに長く続かないことを知っているだけに、青年真成が出会った少女が無邪気に行動していても物悲しい気持ちが心の奥底から消えませんでした。ところどころ登場する漢詩も切ない雰囲気を盛り上げてくれていました。彼らの結末をご覧あれ。
目に浮かぶような鮮やかな長安の風景に、さらりと配された歴史上の人物たち。説得力ある文章に引き込まれて、一気読みでした。3人が一本の道で繋がってるってステキですね。様々な想像をかきたてられる、浪漫ある作品でした。