世界一のゲーム製作者
@namatyu
第1話:開発者は俺。—――オープニング――――
西暦2030年。
MMORPG—――《END》。
世界は魔法と剣、魔物に多種多様な種族—――――竜人・猫人・犬人・狼人・猪人・豚人・エルフ・ダークエルフ……と言った亜人種から、天族、冥族、といった天使や悪魔に類する種族、人族も
国が、地球と同じようにあらゆる思惑を巡らせて成り立つ世界だ。プレイヤーはどの種族に肩入れしてもいい。
人類共通の敵として――――魔族に魔物も用意した。勿論、プレイヤーは魔族と共闘することも出来る。
これが俺が作ったMMORPG。—――年間収益は10兆円。
これだけだとそこらにあるものだと思うだろう?違うんだ。
先ず第一に――――――――この世界で稼いだ仮想通貨は現実世界で為替出来る。
そのレートは1
ゲーム市場を大きく―――いや飛躍させることになった素晴らしいゲームだ。
そして第二に―――――――このゲームは人工知能AIを全てのモブキャラに搭載している。
全てのNPCはこの世界の住人だ。
本当に生きている。NPCを殺せば生き返ることはない。
決められたクエストはあるものの、それを繰り返せば好感度が上がり、そのプレイヤーのみが得られるユニーククエストが搭載されている。それはそのNPCとの関わりだけではない。他の人間関係によっても変わってくる。
完全オリジナル!つまり、このゲームは全てのユーザーがどのように選択したかで何もかも変わってくるのだ。
もちろん、好感度システムがあるのだから結婚システムも搭載されている。
結婚後、—―――出産や育児、あらゆる全てを。
18禁コンテンツも当たり前のようにある。
そして第三に―――――プレイヤーキャラはログインしていない間も、そのプレイスタイルをAIが読み取ることで、同じように勝手にプレイされるのだ。
当たり前だろう?世界に没入することが出来るゲームなのに、プレイヤーキャラはログイン外では一切の行動を行わない……なんて現実で起こりうるか?いや、そんなことは起こり得ない。
学生なら、ログアウトしたら、睡眠、飲食、通学、排せつ、勉強、友達のとの付き合い、様々なことをするだろう?それはゲームの自分自身も同じなんだよ。
だから、このゲームは第二の世界と言ってもいい。
プレイヤーのみんなもそう評価した。
その結果、全世界で爆発的人気ゲームとなったのだから。
このゲームでは出来ないことはない。
あれがしたい、これがしたいを出来るようにしたのだから。
だがな。
それだけのものを作り上げたら、バグが生まれるんだよ。
開発者の俺は苦悩した。
必死でバグ処理をした。
でも、やれどもやれども、バグは一向に減らない。
新しいコンテンツを作り、バグを修正し……、その繰り返しで俺は世界一のゲームを作り上げたにも関わらず、ゲームそのものを完成させることなく!碌に稼いだ金を使う事もなく!
過労で死んだ。
それは、余りにも辛すぎた。
この世界は完璧にして、未完。
故に―――――現実世界の俺は死んだのだと、ゲーム内に作製した俺は悟った。
これは俺が、この《END》を完璧にして、完成を目指す、物語である。
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