夏の夜、君のとなり、光の花
東西秋冬
第0話 君がいた、夏の思い出、約束
それは、ほんの一瞬の、決して忘れることのない景色でした。
数年前の夏、私は幼馴染の
夕方、いつもより混んでいるように感じた電車内はどこか落ち着かない雰囲気が支配していました。
でも、そんなことを気にしない電車は目的地に向けてレールの上を進んでいく。
その時でした。
ドン。っという大きな破裂音とともに、大きな花火が窓の外一面に打ち上がりました。
電車は窓の外の景色を気にすることもなく、いつも通りに進んで、花火から私達は離れていく。
三分も走れば、もう花火の
電車は一定のリズムで揺れて、時々、カーブで君の身体と触れそうな距離にまで近づいて。
私達は最寄り駅で電車を降りて、それぞれがバスと自転車で帰ろうかというタイミングで君は
「今度は君と一緒に花火を見たい」
って言った。
私はなんて返事をしただろう。
そうだね?
私も君と一緒に見に行きたい?
確かなことは覚えていないけれど、君がそう言っていたことは間違いのないこととして覚えている。
その時の君の声を、返事をしようと顔を上げたときに見えた君の横顔を。
私はふとしたタイミングで思い出す。
花火大会のポスターを見たとき、浴衣の男女が待ち合わせしているのを見たときに。
テレビやインターネットで花火の映像を見たときに。
もしかしたらもう、そんな機会がないかもしれないのに。
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