第2章 疑念と後悔

走っていた。紫の布に包まれた長く少し重い弓矢を背負いながら。私はその間様々な気持ちが交錯していた。まずは、極秘文書の内容を。果たして、本当なのか?悪徳資産家3人の「アレン」「伊田」「雨奈」なんて知らない。でも、なぜかわからないけど本当な気がする。30億…。手に入れば何も苦労しない。大学に行けないなんて蟻を見下ろすほどちっぽけな悩みになる。1歩大きく踏み出して考えていると同時にこの異質な状況に置かれた自分が嬉しかった。口を大きく開いて酸素を取り込んでいる。なのに、強制的に口を閉じて唇を細めていく。にやけていた。心の底で私はドラマを現実に訪れるのが待ち遠しかったんだ。ようやく、そう…。これまでの私の人生を辿れば…。


私はある田舎町に生まれ、育った。といっても、都会に比べたらの話だ。海沿いで山もある。スーパーやコンビニ、学校、幼稚園、公園、つまり、畑だらけの町と比較すれば栄えている方だ。私は何ら問題なく育った。だが、それ故に強みとなる軸が備わっていなかった。親に過保護ほどではないが、甘やかしてくれてばっかだっだ。時間がない日は家から学校まで車で送り迎えしてもらった。学校に着きしばらくして忘れ物に気づけば、電話して届けてくれた。数学のテストの点数が悪くても許してくれた。対して家事や料理もせず、部活を引退してもバイトはしない。大学へ進学してもらい、何とか資金も用意してくれた。新しい家も決めてもらった。生活費も奨学金からやりくりして毎月4万用意してくれた。

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弓矢 ルイ 辻田鷹斗 @ryuto7ryu

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