あんたなんかクソやろうじゃんw

猫の集会

わたしは、あんたが嫌い

 わたしは、双子だ。

 

 でも二卵性だから顔は全然似ていない。

 

「ユナちゃーん、先に行くよー‼︎」

「待ってよ〜。ユリちゃーん。」

「ほら、ツトムが外で待ってるよ〜っ」

「うん。わかってる。だから今髪の毛整えてるのーっ」

 

「あー、はいはい。」

 

 ユナちゃんは、高校に入ると同時にツトムという近所の幼馴染と付き合いはじめた。

 

 いつもイチャイチャでチョー仲良しなんだ。

 

 そんなユナちゃんを見ていると羨ましいと思いつつ、自分まで嬉しくなっちゃうんだよね。

 

 ユナちゃん幸せそう。

 

 この二人は、ずっと一緒なのだろうと思っていた。

 きっと結婚するんじゃないかなって

 

 

 …でも、大学生になるとお互い時間が合わなくなり、時間のすれ違いで別れてしまったのだ。

 

 

 なんか…なんか寂しいな。

 わたしには、関係ないことかもしれないけどさ…なんか心にぽっかり穴が空いた感じ。

 

 まぁ、むしくいくらいの穴だけどさ…でも、やっぱり気分はいいものじゃないよね。

 

 

 それからしばらくして、ユナちゃんは別の人との交際をはじめた。

 

 …うん。

 仕方ないよね。

 

 新しい彼氏はりくやくんという名前らしい。

 

 わたしもユナちゃんと同じ大学だけど…なんかりくやくんって…好きになれない。

 

 なぜなら、ユナちゃん以外の女の子ともよく二人で、話したりしてて…女の子との距離が近いんだよね…。

 

 そして、わたしにも馴れ馴れしい。

 わたしは、二次元派だから興味ないけどさ。

 

「おー、ユリ!ユナは?」

「えっ、知らないよ?」

「ふーん。双子ってどこにいても相手のことわかるって聞いたけど、お前らは薄い絆だな。ハハッ」

 と笑いながら行ってしまった…。

 

 は?

 

 やっぱり…りくやってやつ苦手。

 

 そんなある日、見てしまった。

 

 りくやが別の女の子とキスしているのを…

 

 えっ⁉︎

 

 ユナちゃんたちって…別れたの⁈

 

 わたしは、慌ててユナちゃんの元へ向かった。

 

「ユナちゃん!」

「え、何⁇そんなに慌ててどうしたの?」

「…ユナちゃんってまだりくやと…付き合ってるよね?」

「うん。一応」

 

 …一応か。

 

 もしかしたらユナちゃんもなにか気づいてる…?のかな。

 

「あぁ、そうだよね。ごめん、なんでもないよ。」

「そ?」

「うん。じゃ」

「じゃぁね。」

 

 …

 

 一応か。

 

 ってかさ、りくやのやつやっぱりきらい‼︎

 

 

 その数日後だった。

 ユナちゃん…あざできてるじゃん。

「あれ、ユナちゃん。腕ぶつけたの?」

「え、あー…まぁそんな感じ」

「ふーん。気をつけてね」

「あ、ありがと」

 

 …なんか違和感。

 ぶつけたんじゃなさそうな感じだったな。

 

 大丈夫かな…。

 なんかひっかかる。

 

 でも、ユナちゃんが言いたくないならいっか。

 

 

 

 

 小雨が降り出した九月の終わり…最近日が暮れるの早いな。

 それにしても…

 なんか…今日ユナちゃん帰り遅いなー

 

 心配になってコンビニに行きがてらユナちゃんまだかなとキョロキョロしつつ歩いた。

 

 あ!ユナちゃんいた〜。よかった。

 ユナちゃん、りくやと一緒か。

 

 なら、よかったよ…って…

 

 えっ⁉︎

 えええっ⁉︎

 

 ん?

 

 一瞬見間違えた⁇

 りくやのやつユナちゃんに肩パンくらわせなかった?

 

 あのあざって…りくやのせいなんじゃん‼︎

 

 あー、ユナちゃんなんであんなやつと付き合ってんだろー…

 

 でも、わたしが割り込むところじゃないかな…。

 

 しばらくして、ユナちゃんは帰ってきた。

 

「おかえり、ユナちゃん」

「あー、ただいま」

「なんか元気ないね?」

「うーん…さっきさ…りくやに軽く逆ギレされてさ。なんか…なんでわたしりくやと付き合ってるんだろうって最近思うようになってさ…」

 

 ユナちゃんも、りくやの悪行にやっと気づいてきたのか。

 

 なら、少し安心かな…。

 ほんっとりくや大っ嫌い‼︎

 

 

 

 そんなモヤモヤな日々を過ごしつつ、わたしは趣味に没頭中であります!

 さてさて、今日はわたしの大好きな本が発売されます〜。

 

 ウキウキで本屋へ向かった。

 

「あれー、ユリじゃん」

 

 聞き覚えのある声。

 声の方を振り向くと久しぶりにみるつとむが立っていた。

 

 あー…つとむー。

 つとむー‼︎

 

 あ‼︎そうだ。

 つとむにとあるお願いをしてみた。

 

 うんうんと話を聞いてくれるつとむ。

 つとむは、わたしのお願いに快く承諾してくれた。

 

 

 そのお願いとは、最近ユナちゃんが元気ないから相談にのってあげてってこと。ユナちゃんには、カフェ一緒に行こうって言ってそこにつとむが現れてわたしが退散するってことだった。

 

 その数日後りくやがわたしの元へやってきた。

 

「ユリさ、ユナに元彼引き合わせただろ?なんで?彼氏のオレがいるのになんでそんなことするわけ?」

 と少し怒り気味だった。

 

 は?

 あんたに怒る権利無し‼︎

 

「もちろんわたしの作戦だよ?だってあんたユナちゃんのこと全然大切にしてなかったじゃん。」

「だからってなんで二人を引き合わせるわけ?」

「そりゃ、もちろんつとむとユナちゃんがヨリを戻したらいいなって思ったからだよ?」

「は?ふざけんなよ」

「ふざけてるのはどっちよ‼︎浮気したりしてどこがユナちゃん大事にしてるって言うんだよ‼︎そもそもわたしは、あんたが大っ嫌いだから‼︎あんたよりつとむの方がユナちゃん幸せにしてくれそうだったからそうしただけだよ‼︎」

 というとりくやは、拳を握りしめた。

 

 わたしは、殴られても全然構わない。

 少しもこわいなんて思わなかった。

 

 でも、りくやはわたしに手を出さないでその場を立ち去った。

 

 それからしばらくして、ユナちゃんはりくやと別れたらしい。

 

 

 

 

「ユナちゃん…わたし余計なことしちゃったかな?」

「ううん。むしろありがとう。」

「うん…」

 やっぱり余計だったかな…

 わたしが少し落ち込んでるとユナちゃんは、

「このままズルズル結婚とかしちゃってさ、子ども産んだとするじゃん。で、浮気されて捨てられたら最悪じゃん。りくやは、新しい女とイチャイチャかもだけど、残されたわたしと子どもは、これからの生活があるわけなんだよね。幼い子いて、働いて育児してって考えたらゾッとするもん」

 と、ユナちゃんは、なにかを吹っ切れたようにスッキリした顔で笑った。

 

 

 

 

 その後、つとむとユナちゃんはいい友達関係を築いている。

 

 

 

 おしまい。

 

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