【書籍試し読み増量版】サムライ転移~お侍さんは異世界でもあんまり変わらない~1
四辻 いそら/MFブックス
第一話 お侍さん、異世界に降り立つ(1)
「
見渡す限りの大森林の中、一人の男が誰にともなくポツリと
ふと気が付けば見覚えのない景色。
先ほどまで遠くに宿場町が見えていたはずだが…………
ぐるりと辺りに視線を巡らしてみるも、樹齢百年はくだらないだろう大木が
「……………………」
────まぁ、いい。
ここが何処かなど知らん。この先が何処へ通じているのかも分からん。
だが別に、そんなものはいつものことだ。
見知らぬ森を一切の
◆ ◆ ◆
『朝が来るたび死を覚悟せよ。
『武士とは何の準備もなく暴風雨に
『命か誇りを選ぶのであれば、命を捨てることに
父から課せれた鍛錬は剣術のみに
そんな日々を過ごすうち、
「まっ、参った!!
「…………何を言っている。まだ右腕が折れただけだぞ」
尻もちをついて剣を手放し、
そんな相手を冷え切った表情で見下しながら、元親は血が
────
腕を折られたくらいで。眼玉を潰されたくらいで。
────何故怯える?
強くもないのに剣を握るな。覚悟もないのに武士を名乗るな。
────何処にいる?
俺と同じ覚悟を持つ者は。俺と同じ景色を見る者は。
俺など
『あの山には恐ろしい
そんな
しばし
「元親よ、何故そうまで荒ぶるのだ。近頃は
地の底から響き、
並居る
「…………恐れながら、父上。泰平など
聞きようによれば
「貴様、兄たちが間違っておると抜かすか」
「そうは存じません。武士とは己の信じる武士道に生きる者。歩む道は違えども、行き着く先は皆同じかと」
「
「お言葉ですが、父上。元親は父上の
────瞬間。親子の視線が
急速に膨れ上がった殺気は両者の間の空間が歪んで見えるほどの濃度となり、広間の襖がビリビリと一斉に震え始めた。
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