さようなら

@Gpokiu

言葉

きらきら輝く太陽の下で、彼は佇んでいる。

鎖骨に涙を溜めて、彼は佇んでいる。


私は恋をした。


すれ違った瞬間だった。

生涯最後の恋をした。


彼の腕を掴む。


「私も、ここにいていいかな。」


返事はない。彼に、拒否権はない。


朝ごはんは何にしよう。ご飯がいいだろうか、パンの方が良いだろうか。

休日は、何をして過ごそうか。家にいるか、外出でもしてみようか。

冬も春も夏も、ずっとずっと、何をして過ごそうか。


「何がしたいの。」


返事はない。選択肢は、たくさんある。


さやうなら、御きげんよふ。

別れの挨拶は、しないでおこう。次会った時に、とっておこう。

言葉の無駄遣いは、よしておこう。



ああ、なんて美しい。

怒った顔も、泣いた顔も、笑った顔も、その全てに恋していた。


それは、永遠にも感じられた。


有り難い。

有り易くても、全て伝えておいた方がいい。

有り難いのならば、有り易いうちに。


ああ、違う違う。そうそう、それ。


言葉が、言霊となって、彼女を縛り付けていたのか。

どのみち、救われていたのは彼女だったのかもしれない。


私は、恋をした。

生涯で、最後の恋をしていた。

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