第30話 結婚式

「永遠の愛を誓いますか?」


「誓います」


「本当に? 本当の本当に?」


 パパと女の子は結婚式ごっこをして遊んでいるのだ。女の子は一人二役、神父と新婦である。パパは女の子との会話のやり取りをするが、どうもちんぷんかんぷんな方向へと行く。


「パパはママと別れたから再婚だよね?」


「やかましい、これは結婚式ごっこだろー?」


「いいえ、これはあたしとの永遠の愛を誓う結婚式ですね」


 とまあ、こんな感じである。パパは我が子に永遠の愛情は注げても、永遠の愛はなぁ、そう思っている。でも、これは結婚式ごっこだしなぁ、そうパパは考える。


「パパ~♪ 永遠の愛を誓いますか?」


「うん。まあ、あれだな。一応」


「一応って何よ?」


 パパと女の子の結婚式ごっこはちんぷんかんぷんな方向へと行くのである。女の子はニコニコ笑顔である。パパは我が子の遊びにいまいち理解が追い付かない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る