第29話 お風呂、数える

「いーち、にーい、さーん……」


「十まで数えたらお風呂から上がるんだよ?」


「しーい、ごーお、ろーく……」


 パパと女の子はお風呂から上がるつもりである。パパはお風呂から上がればコンテストの執筆が待っている。ビールを飲みたい、でも借金があるからそんな余裕はなかった。


「くーう、さんじゅう!」


「おいおい、ちゃんと数えるんだよ?」


「くーう、ひゃく!」


 女の子はケラケラ笑っている。パパとのお風呂が楽しいようだ。パパはお風呂につかって、こうして女の子との時間が幸せだなぁ、そう思った。


「パパ~♪ パパはどれだけ数えるの?」


「うーん、一億!」


「はい、それじゃ、数えてね?」


「え? ジョークだよ?」


 パパと女の子は結局、一緒に十まで数えることにする。パパは女の子とのお風呂が楽しいなぁ、そう思った。かわいい盛りの女の子はパパの宝物である。

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