A

ボウガ

第1話

ある手紙が、届けられずにゴミ箱に出され燃やされた。


君は僕をかばってくれたから、それに僕らだけが青い目をしていた。僕は君に、あの日隠れて突然キスをした。掃除当番はふたりきりだったし、君は僕のキスに笑ってくれた。


それからも、仲は深くなり、一緒に遊ぶようになって君はますます綺麗になっていった。夜景の見えるレストランで食事をしたあとまたキスをしたら、君の肩は喜びで震えていた。


僕は君の事を何でも知っていた。その日、最後にいったんだ。

「君は、僕のことを好きだからいじめからかばってくれたんだね」

君のガラス玉のようにキレイな瞳は揺れていた。


翌日、君は転校した。僕はまた一人になった。そして、君の友人から聞いたよ。君は男嫌いだっていうこと、警察官である父親に憧れて正義のために僕をかばったこと。それでもかよわそうな僕に友達になれるか期待していたこと、期待は裏切られ、無理やりにキスをされたけどどうすればいいかわからず笑ったこと。


同情の末に関係をつくり、無理やりキスを求められるたびに、恐怖で震えたこと。


全て僕のせいだ。今までごめん。

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A ボウガ @yumieimaru

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